元WBC世界フライ級王者の比嘉大吾(24)は「階級の壁」を突破できるのか。3月に白井・具志堅スポーツジムを離れ、6月30日付でWBO世界スーパーフライ級王者の井岡一翔(31)と同じAmbitionジム所属に。オンライン会見では「ボクシングにだけ集中できる環境を与えていただいた。やるからには絶対に世界王者になりたい」と新天地での意気込みを語った。

 2018年4月のWBC世界フライ級V3戦で、世界戦での日本人では初の失態となる前日計量失格で王座を剥奪されたこともあり、今後はバンタム級が主戦場となる。そこで懸念されるのが「階級の壁」だ。フライ級ではデビューから全試合KO勝利で世界王者になり、連続KOを日本タイ記録の「15」まで伸ばす強打を誇ったが、2つ上のバンタム級で一発で倒すボクシングができるとは限らない。だがオンライン会見に同席した野木丈司トレーナー(60)は「大吾の胸郭、上半身の骨格はバンタム級でも大きいほうだと思う」と話し、軽量級では並外れた体格を生かす方針だ。

 比嘉の試合直前の胸囲は1メートル弱で、バンタム級から3階級上の元WBA世界スーパーフェザー級スーパー王者の内山高志氏(40)にも匹敵していた。拳で打ち合うのがボクシングの基本だが、試合ではクリンチなどのもみ合いも多い。野木トレーナーは、階級を上げて通用しなくなる原因は「競り合いで力負けする」ことだと分析する。比嘉は体の厚みを生かして逆に競り合いで相手を消耗させ、持ち前のパンチ力で仕留めるスタイルをつくっていくという。

 年内に2戦こなし、早期に世界挑戦してベルトを取り、バンタム級の頂点に君臨するWBAスーパー&IBF統一王者の井上尚弥(27=大橋)と対戦する青写真を描く。希代の日本人KOアーティスト同士の対戦が実現すれば、盛り上がりは必至。まずはバンタム級にアジャストする。