米ボクシングのプロモート大手トップランク社のボブ・アラムCEO(88)が新型コロナウイルス感染拡大の影響で中止や延期が続く興行を6月から再開すると語り、注目を集めている。

 ボクシングの興行が再開される場所としては当初、プロレスのWWEや総合格闘技のUFCなどが「不可欠なビジネス」として無観客開催を認められたフロリダ州が有力視されてきた。だが米スポーツ専門局「ESPN」によれば、アラム氏は「ラスベガスかカリフォルニア州でできないか、各州のコミッションや医療関係者と作業している」という。

 当面は無観客とはいえ、現状ではフロリダ以外で興行を開催することは許可されていない。だがアラム氏の発言に合わせるかのように、閉館中のラスベガスのホテルでは6月の宿泊分からの予約受け付けを再開したところもある。

 テレビの放映権料や、オンラインカジノなどで勝敗に賭けながら見る客がいれば、お金は動く。こうした人たちの興味を引けるように、アラム氏は6月以降のリングに上がる選手として「(ヘビー級のタイソン)フューリーや(デオンテイ)ワイルダーではないが、トップファイターだ」と言い、WBC&WBO世界スーパーライト級統一王者ホセ・ラミレス(27=米国)らの名前を挙げた。

 日本のファンにとっては、WBAスーパー&IBF世界バンタム級統一王者の井上尚弥(27=大橋)もトップランク社と契約する「トップファイター」だけに、今後の動向が気になるところ。4月25日にラスベガスで予定されたWBO同級王者ジョンリール・カシメロ(31=フィリピン)との3団体統一戦がコロナ禍の影響で延期されたこともあってなおさらだ。

 ただ、現在日本から米国に入国した場合、14日間ホテルなどで待機した上で健康状態を観察することが求められる。これが直前の調整にどんな影響を与えるかは未知数。判断は難しくなるが、モンスターの本場登場へ向けて再び視界が開けてきたことは確かだろう。