【ボクシング】フェザー級五輪代表内定の入江聖奈が明かす「重圧と悩み」

2020年03月30日 16時40分

並木月海(右)とともに笑顔を見せる入江
並木月海(右)とともに笑顔を見せる入江

【どうなる?東京五輪・パラリンピック 緊急連載(4)】当事者にしか分からない苦悩もある。新型コロナウイルス感染拡大により1年程度延期が決まった東京五輪は2021年7月23日開幕案が有力となり、代表選考は「内定者優先」の方針で固まってきた。再スタートへ向けて徐々に道筋が見えてきたが、前例のない延期だけに内定アスリートにも戸惑いはある。中でもボクシングで日本女子初の五輪出場を決めた女子フェザー級の入江聖奈(19=日体大)は意外な悩みを抱える。本紙に打ち明けた“本音”とは?

 五輪史上初の「延期」が決まってから日程、チケット、費用、施設などさまざまな難題が持ち上がっている。しかし、代表選考に関しては国際オリンピック委員会(IOC)がすでに確定した枠を原則的に維持する方針を国際競技連盟(IF)に示しており、日本国内では卓球、マラソン・競歩が内定アスリートの権利を優先させる意向を固めた。各競技団体の内定者はホッとひと息といったところだが、必ずしもそうとは限らない。

 日本女子初の五輪出場を決めてボクシング史に名を刻んだ入江は「延期決定」の発表があった24日夜、ツイッターでニュースを知った。
「小さいころから2020年を目指し、夏に向けて突っ走ってきたので、張り詰めていた緊張の糸が緩んだというか…」

 東京五輪招致が決まった13年9月8日の朝、小学6年生だった入江はリビングで父に「東京に決まったぞ」と告げられ、その瞬間に20年夏が目標となった。有言実行とばかりに入江は「日本女子初」という大きなオマケもつけて夢をかなえた。

 延期が決まった当初から日本ボクシング連盟の内田貞信会長(47)は「予選の結果は不動と信じている」と内定者を優先させる方針を示しており、入江の代表権も維持されることが濃厚。「安心しました。強くなるチャンスが増えたし、オリンピアンとして1年を過ごせるのはいいですね」と根っから明るいキャラの入江は早くもポジティブになっているが「実は心配なこともあるんですよ」と苦笑交じりにこう話す。

「今年の全日本選手権が予定通り開催されるか分からないですけど、そこで負けたらヤバいですよね(笑い)。絶対にネットで叩かれる。だってボロ負けして五輪代表って最悪ですよ。もう立場ない…。五輪本番よりプレッシャーですよ」

 毎年11月に開催される全日本選手権は現時点で中止にはなっていない。五輪内定者は「勝って当たり前」という立場で出場するため、仮に優勝を逃せば「五輪代表と言えるのか?」と周囲から非難されたまま五輪へ出場するのだ。実際、まだ内定を得ていないライト級の浜本紗也(20=日大)が1階級下げて入江のフェザー級で出てくる可能性もあり「もし負けたら最悪…。もう世間の目との闘いです!」と入江は今から戦々恐々としている。

 現状ではまだ本気の悩みというより冗談含みのトーンだが、仮に国内でボロ負けして「2番手」のレッテルを貼られて五輪へ向かうとなったら笑い話では済まされない。他の競技団体でも同様の重圧を受ける選手はいるだろう。1年4か月も「代表内定」を背負う苦悩はこんなところにもあるのだ。 

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