“モンスター”が来年に米国でビッグマッチ連戦か。WBAミドル級王者の村田諒太(33=帝拳)らが出撃したトリプル世界戦(23日、横浜アリーナ)を、WBAスーパー&IBF世界バンタム級統一王者の“モンスター”井上尚弥(26=大橋)が観戦。大会後には井上と契約を結ぶ米トップランク社のボブ・アラムCEO(88)が次戦のプランを披露したことで、驚きの“4団体制圧ロード”が見えてきた。

 アラム氏が井上の次戦について口を開いた。「来年4月25日に米ラスベガスで行うことになるだろう」。もちろんこれは同氏の意向であるため、現時点では決定はしていないが、大きく前進したのは事実だ。

 気になる相手は誰になるのか。アラム氏はWBO世界バンタム級王者のジョンリール・カシメロ(30=フィリピン)とWBC同級王者ノルディーヌ・ウバーリ(33=フランス)を候補としたが、井上が興味を示しているのはカシメロとの統一戦だ。井上にはIBFから指名試合の通達が届いているものの、WBOとの統一戦をまとめることができれば指名試合は先送り可能だ。

 さらにもう一つ興味深いのは、来年秋以降と予想される米国での2戦目。井上の目標は、WBCベルトも獲得して史上5人目となる主要4団体制覇だ。WBC王者ウバーリは11月に、暫定王者だった井上の弟・拓真(23=大橋)を下して統一王者となった。この際に井上は弟の敵討ち出撃も宣言していたが、状況は少々変わった。

 前WBC同級王者ルイス・ネリ(25=メキシコ)の体重超過騒動の余波で、宙に浮いていたウバーリへの指名挑戦権。WBCはこれを、ワールド・ボクシング・スーパー・シリーズ(WBSS)決勝で井上に惜敗した元5階級制覇王者のノニト・ドネア(37=フィリピン)に与えたのだ。これにより、WBCのベルトをドネアが巻くことになれば、「ドラマ・イン・サイタマ」と言われたWBSS決勝のリマッチが、来年にも行われる可能性が出てきた。

 ドネアは11月の井上戦後、本紙の取材に対して「もう一回やりたい」と再戦を熱望した。モンスターが4団体制圧の快挙を目指し、レジェンドと再び拳を交える――。もし実現すれば究極の盛り上がりを見せるに違いないが、果たしてどうなるか。