WBA世界ミドル級王者の村田諒太(33=帝拳)が最速王者の期待に応える勝利を狙っている。

 都内で開催されたボクシングの世界タイトル統括団体「WBO」の総会で、5日の表彰パーティーに出席したWBAスーパー&WBC&WBOの3団体世界ライト級統一王者ワシル・ロマチェンコ(31=ウクライナ)は印象に残る日本人ボクサーとして「リョータ・ムラタ」の名前を挙げた。

 世界最速で3階級制覇を果たしたロマチェンコとは階級が違うので今後対戦の可能性はまずないが、ともにアマチュアではロンドン五輪で金メダル獲得。プロ転向後は同じ米トップランク社がマネジメントしている。それだけに「同じような経歴だし、ラスベガスでは試合も見た」と親近感も抱いている様子だ。

 だが…そのラスベガスでの試合(昨年10月)で村田は、ロブ・ブラント(29=米国)に判定負けしてベルトを奪われた。ロマチェンコが村田を生観戦したのはこれが唯一の機会。ブラントには7月にKO勝ちしてベルトを取り返したが「ムラタはとても強いパンチを持っている。自分が見る側になった時は、強いパンチの選手を見るのが好き」と称賛してくれた最速王者の記憶に残っているのが王座陥落の試合ではバツが悪い。

 村田は同級9位スティーブン・バトラー(24=カナダ)とのV1戦(23日、横浜アリーナ)に向けて「この先、大事なのはコンディショニング」とした上で「相手が嫌になるまで殴るだけです」ときっぱり。ロマチェンコのイメージを上書きするような会心の勝利しか頭にない。