日本の誇る“モンスター”がさらに強くなりそうだ。WBOのフランシスコ・バルカルセル会長(71)が、WBAスーパー&IBF世界バンタム級統一王者の井上尚弥(26=大橋)とWBO同級王者ジョンリール・カシメロ(30=フィリピン)との対戦について「来年早々にも実現できるように動いていきたい」と表明し、実現に進展があった。

 WBO総会のために来日中の同会長はワールド・ボクシング・スーパー・シリーズ(WBSS)優勝後に井上と契約した米トップランク社、さらにカシメロをマネジメントするMP(マニー・パッキャオ)プロモーションとは「いずれもWBOと良好な関係にある。総会には両社のプロモーターも来る。そのメンバーが集まればどんな話をするかわかるでしょう? 2日後には何かが起こっているかも」と5日までの総会中に動きがあることも示唆した。タイトル統括団体のトップがGOサインとなれば、3団体統一戦へ一気に走りだす可能性が高い。

 これは大きな変化だ。スーパーフライ級時代の井上はWBO王座を7度防衛しながらも、ベルトを獲得したオマール・ナルバエス(アルゼンチン)との王座戦以外は「やりたい相手とできなかった」と不満を口にしたことがあった。強すぎて対戦をことごとく拒否されたための悩みだが、今回もトーナメント戦で相手を選ぶ必要のないWBSSが終了し、井上の戦意を満たすマッチメークをできるかが注目されていた。それが一転して、井上自身が「ターゲットにしている」と話した相手ととんとん拍子で対戦実現となれば、モンスターのさらなるモチベーションアップは必至だ。

 今年のリングを大いに沸かせた井上が、米進出が予想される来年にどこまで飛躍するのか。