【WBSS】井上尚弥 早すぎる減量の狙い

2019年11月05日 16時30分

予備検診を終え、ポーズをとる井上(左)とドネア

 異例のハイペースだ。ワールド・ボクシング・スーパー・シリーズ(WBSS)バンタム級決勝(7日、さいたまスーパーアリーナ)で対戦するWBA正規&IBF世界王者の井上尚弥(26=大橋)とWBAスーパー王者ノニト・ドネア(36=フィリピン)が4日、予備検診で顔を合わせた。引き締まった表情で会場に現れた井上は、すでに体重がリミットを下回っているという。世界が注目する決戦へ向けてさすがに早すぎるのでは…と思えるこの調整には、もちろん理由があった。

 両者が対面するのは、試合に向けた会見を行った8月26日以来だ。約2か月ぶりに再会した印象を井上は「お互いにちょっと小さくなった、という感じ」と表現した。

 この日は計量2日前で、減量が佳境にさしかかっているので小さくなるのは当然だが、ジムの大橋秀行会長(54)によれば「(井上は)昨日(3日)でもうリミット(53・52キロ)を切っている」という。

 体重は前日計量の時間にクリアしていればOK。当日朝に100グラム程度なら超過していても自然代謝で落ちるので、2日前なら数キロオーバーしている選手も珍しくない。ただ、体重を落としている期間が長くなれば空腹状態によるストレスも増える。それだけに計量3日前でリミットを下回るのは異例とも言えるペース。さすがに「早すぎるのでは?」との懸念も出てくる。

 だが、これは“WBSS後”を見据えてのこととも言える。5月に英国・グラスゴーで行われたWBSS準決勝の際には、試合10日前に渡英する時点で頬がこけるほど絞っていた。前回は英国の気候や食事情で不透明な部分も多く、念には念を入れて早めに落としたのが最大の理由だった。

 今回、その心配はなかったが、ドネアに勝ちWBSSを制覇すれば、今後は海外で試合をする機会が増えることが予想される。準決勝は2ラウンドKOで圧勝しており、同じ“ルーティン”を採用したというわけだ。

 さらに5月の試合は、IBFが統一戦はその団体の最上位の王者相手ではないと認めない方針のため、上位にWBAスーパー王者のいる井上は「IBF王座に挑む」という形となり、IBFが規定している当日計量が実施された。ここでリミットから10ポンド(約4・5キロ)超オーバーしていると失格になるが、今回は統一戦となり当日計量は実施されない見込み。計量後は自分のペースで食事や水分を取れ、しっかりリカバリーできることから、早めに体重を落としても問題はないという判断だろう。

 この日に計測された数値は身長が164・5センチと170・2センチ、リーチは171センチと174センチでいずれもドネアが上回った。井上はこのデータを「どう考えて戦うか」と話したものの「仕上がっているので、あとは(試合の)イメージをして調整するだけ。不安材料は何一つない」と自信を見せた。“モンスター”はWBSS制覇後もきっちり視界にとらえているのは間違いない。