世界3階級制覇王者でWBO世界フライ級王者の田中恒成(24=畑中)が5日、アマチュアボクサーで東京五輪日本代表候補の兄・亮明(25=中京学院大中京高教諭)との2ラウンドのスパーリングを公開した。

 恒成は24日に名古屋市内の武田テバオーシャンアリーナで同級1位のジョナサン・ゴンサレス(28=プエルトリコ)とV2戦を行う。サウスポーでスピードのあるゴンサレス対策として、恒成は今回、両方を併せ持つ兄と約2年ぶりのスパーを行ってきた。短期決戦のアマチュアボクサーは「1Rからトップギアに入る」(恒成)ため、スピードとリズムアップには最適の相手だという。

 恒成によると「高校生の時は実力差がありすぎて相手にならなかった」というが、兄は「力強いし、速い」と弟の成長を口にした。恒成も「いい練習になった。2Rだったのでテンポを上げた。(試合は)12Rあるんで、1Rで2、3回トップスピードが出せれば、今回の練習の成果が出ている」と話す。

 仕上がりに不安はなく「あとはスパーリングを1回するだけ。10Rぐらいの長いラウンドを1回入れてスタミナとのバランスを取りたい。試合ではスピードを存分に生かしてKOで勝ちたい」と宣言した。

 兄弟スパーはもちろん亮明にも大きなプラスとなる。「アマチュアが好き。高校入学の時からオリンピックに行くと言っていた」という兄の目標は五輪代表選考大会の一つである11月の全日本ボクシング選手権。ここで「日本一を証明してオリンピックの舞台に立ちたい」(亮明)。プロとアマ、戦う世界は違うが頂点を目指すのは一緒だ。