覚醒した“ニュー・ムラタ”の言葉の意味は――。WBA世界ミドル級王者の村田諒太(33=帝拳)が1日、練習を再開した。昨年10月に同王座を奪われたロブ・ブラント(28=米国)を2回TKOで破ってベルトを取り戻してから約3週間。今後対戦を希望する相手としてミドル級3団体王者のサウル・アルバレス(29=メキシコ)とゲンナジー・ゴロフキン(37=カザフスタン)の名前を挙げた。

 練習を再開した村田は次戦について「年内にできればいいですよね」と言ったものの、現時点ではさすがに何も決まっていない。それでも将来的な構想として帝拳ジムの浜田剛史代表(58)がアルバレスとゴロフキンの名前を挙げると、村田も「カネロ(アルバレス)が中心で、その周りにゴロフキンがいるのが今のミドル級なので、やってみたい」ときっぱり言い切った。

 この2人の名前は前回の王者時代も口にしていた。だが言葉の持つ意味は全く違う。

 昨年までの「やりたい」の言葉の裏には「変なのとやって負ける前にやりたいと思っていた」という心境があった。だが今は「これまではお客さんを喜ばせることはできても自分が納得できるボクシングができていなかった。今回はそれができて『自分のボクシングの形』ができている、と思えた」とポジティブなものに変わった。

 例えは悪いが、いわば“記念受験”的な発想だった昨年までとは違う。「面白い試合ができると思います」という言葉も、ミドル級の頂点に君臨する2人と“勝負”できる自信の裏返しだ。

 ブラント戦を前に「村田は勝てない」と考える人が多かったのも感じていた。だが村田は「意外です。僕は勝てると思ってましたから」。その当人が「面白い試合」をする自信があると言うのは勝算がある証拠。対戦が実現することを願いたいところだ。