村田 勝利のカギ握るあと5センチの勇気

2019年07月11日 16時30分

村田はブラント(右)との「5センチ」をつめられるか

 勝利への最大ポイントは――。WBA世界ミドル級タイトルマッチ(12日、エディオンアリーナ大阪)で激突する王者のロブ・ブラント(28=米国)と同級4位の村田諒太(33=帝拳)が10日、大阪市内のホテルで記者会見を行った。昨年10月に奪われたベルトを、リターンマッチで村田が奪回するためには「5センチの勇気」を出せるかにかかっている。

 米ラスベガスで王座を奪われてからの約9か月を村田は「この年になって、時間がたつ早さを感じています。前回負けてからの日々は人間として成長するのに、とてもいい時間でした」と振り返った。前回12ラウンドをフルに戦って判定負けした相手との再戦には「強いパンチをどれだけ当てられるか」と話した。

 対するブラントは「ムラタはハードに来るだろうけど、それに対応する能力はある。私を倒すことはできない」と防衛宣言したが、余裕しゃくしゃくの王者に一泡吹かせられるのか。

 帝拳ジムの本田明彦会長(71)は「前回よりも、あと“これだけ”の距離を詰められるか」と語る。「これだけ」と言って親指と人さし指で示した距離は5センチほど。このわずかな距離を踏み込めるかが、村田の言う「強いパンチを当てられるか」のカギとなるという。

 たかが5センチ…だが、この距離を詰めることができればパンチを当てた時に与えるダメージは格段に違う。とはいえ、相手のパンチの威力も増すことになる。昨年10月の対戦では、村田は自身が放った倍近い数の1200発超のパンチを受け、蓄積したダメージで最後はスタミナ切れのような形になった。そのダメージが確実にアップする恐怖心を振り切り、ブラントの懐に入っていけるかが勝負を決めるということだ。

 ただ、今回の試合に向けたスパーリングでは米国から呼んだ3人のパートナーのうち、1人は本来スーパーミドル級(計量時のリミット76・2キロ)にもかかわらず、体重が約90キロあった(本紙既報)。さすがにスパーリングでは周囲がヒヤリとするような重いパンチをもらうシーンもあったが、村田は平然としていたという。ブラントのパンチが“ヘビー級”より重いことはないはず。前回の対戦でも、まともに効いたパンチはなかった。あとはスパーリングでの打たれ強さを勇気に変えて、倒すパンチを打てる距離に詰めることが重要になる。

 プロとして関西で試合をするのは、2014年5月の京都以来となる。奈良市出身の村田は「関西弁で応援されるのはうれしいけど、ヤジられないようにしないといけないですね」と言いつつ「絶対に面白い試合をします」と締めた。

「5センチの勇気」を振り絞り、面白い試合=倒して勝つことを誰もが期待している。