【ボクシング】井岡一翔 日本人初の4階級制覇してもいばらの道

2019年04月20日 16時30分

一翔は4階級制覇へ向けて厳しい表情でサンドバッグを打った

 今度こそ日本選手初の4階級制覇王者は誕生するのか。WBO世界スーパーフライ級2位の井岡一翔(30=Reason大貴)が6月19日に千葉・幕張メッセで同級1位アストン・パリクテ(28=フィリピン)を相手に同級王座決定戦を行うことが19日に発表された。昨年大みそかにマカオで4階級制覇に失敗してからダイレクトでの再挑戦。勝てば快挙達成となるが、その場合でも待っているのは“イバラの道”だ。

 一翔は昨年大みそかにマカオでドニー・ニエテス(36=フィリピン)を相手に同じタイトルをかけて王座決定戦を行い、1―2で判定負け。ニエテスが2月に王座を返上したため、再起戦を挟まずに王座決定戦に臨むことになり「再起戦で4階級制覇に挑戦できるとは思わなかった。前回のストーリーの続きを完結させたい。背水の陣。後がないものと思ってやる」と意気込みを語った。

 王座決定戦で連敗ともなれば、商品価値はガタ落ち。2017年12月に現役引退を表明し、昨年9月に復帰しただけに、本人が言うまでもなく「後」はなくなる。だが勝って快挙達成となっても、待ち受けるのは厳しい道だ。

 4階級制覇なら次は大みそかにビッグマッチといきたいところだが、そうはいかない。一翔―パリクテ戦の勝者は90日以内に指名試合を行う必要がある。その相手は、5月25日に米フロリダ州キシミーで行われるWBO世界スーパーフライ級5位の江藤光喜(31=白井・具志堅)と同6位のハビエル・シントロン(24=プエルトリコ)が拳を合わせる「指名挑戦者決定戦」の勝者だ。

 WBOの本部はプエルトリコにあるが、現在同国人の王者はライトフライ級のアンヘル・アコスタ(28)だけ。プロデビューから破竹の10連勝中のシントロンには「団体を挙げて世界王者になる期待がかけられている」(関係者)という。晴れて「指名挑戦者」となれば、WBOが一翔とパリクテの勝者にすぐさま対戦を命じるのは確実。相手より約1か月も短いインターバルで、9月ごろに試合を行う必要があるのだ。

 一翔としては試合のダメージによっては恒例の大みそか決戦に向けて「待ち」を希望したいところだが、王座統括団体肝いりの挑戦者が控えているとなれば、そんな要求が認められるはずもない。しかも、6月の王座決定戦で勝利後に9月の試合会場を国内で確保するのはまず無理。となれば、短い試合間隔で無敗の挑戦者相手に完全アウェーの戦いを強いられる可能性が極めて高いのだ。

 江藤が挑戦者となった場合でも、試合間隔が短くなる条件は変わらない。さらには、“準敵地”のフロリダで勝利して自信をつけた相手と戦うことになる。

 その一翔も先月で30歳となり「21歳で世界王者(WBCミニマム級)になった時は、30歳で現役をやっているかは想像がつかなかった」と振り返った。目先の敵のパリクテも「若くて、パンチ力があって、勢いがある」(一翔)と決して侮ることのできない強敵で、その先に待つのも過去にないほどきつい相手。そのすべてをクリアしてこそ一翔が望む「唯一無二の王者になる」が、果たして…。