【ボクシング】田中恒成 初防衛を支えた“マウス問題”

2019年03月18日 16時30分

 紙一重の戦いだった。WBO世界フライ級タイトルマッチ(16日、岐阜)は、王者の田中恒成(23=畑中)が元WBA&IBF統一世界ライトフライ級王者の田口良一(32=ワタナベ)に3―0の判定勝ち。初防衛に成功したが、その裏側ではあわやKO負けの危うい可能性もあった。

 17日の一夜明け会見で田中は判定で最大10点差がついた勝利にも「全然いいボクシングができてなかった。ほぼ反省点ばかり」と厳しい自己評価。実際、この結果は間一髪のところで入れ替わったかもしれなかった。

 田中は昨年11月にパナマで行われたWBO表彰式に出席したが、その機中で「上の前歯が“取れちゃった”んです」。田中の前歯は、アマチュア時代に井岡一翔(29=SANKYO)とスパーリングをした際に折れた。以来、差し歯にすることで特に問題はなかったものの、蓄積した“勤続疲労”で限界を超えた。

 この事態にインプラントを決意。2か月ほどで「土台」を作り、その間は臨時の「入れ歯」を使っていたが、土台の安定に期間を要し、インプラントが「完成」したのは今月に入ってからで、ぎりぎりだったのだ。

 仮の入れ歯では、滑舌が悪くなる影響も出たといい「やっぱり“踏ん張り”とかがだいぶ違います」(田中)。V1戦では3回に右ストレートで腰が落ちかけた。これまでもダウンを喫したことはあり、決して打たれ強くはない。ここで仮歯で戦うことを強いられていたのなら、パンチへの耐性が弱くなり、展開が全く違ったものになっていた可能性もある。

 今後は「防衛でも階級を上げるのでも、いい試合が決まるほうにいきたい」と話したが、ここ2戦はKOもダウンもなかったことにはファンにもの足りなさを抱かせる。新しくなった歯を食いしばって、次はスッキリ倒したいところだ。