王者・田中恒成の異様な公開練習 ストーブ、暖房…調整ミスなのか?

2019年03月12日 16時30分

練習を公開した田中

 チャンピオン陣営の真意は――。ボクシングのWBO世界フライ級王者の田中恒成(23=畑中)が11日、V1戦(16日、岐阜メモリアルセンター)に向けた練習を公開したが、そこには異様な光景が広がっていた。

 この日の名古屋は春の陽気だったが、ジムでは石油ストーブがたかれ、乗せられた鍋からは湯気が上がる。さらにエアコンは「暖房」がフル稼働。ジム内の温度計は「室温30度。湿度65%」と表示されていた。そんな中で設定された練習前の会見も、椅子に腰かけた王者は下を向き、畑中清詞会長(51)も「練習後は一切しゃべりません」とピシャリ。会見が始まると試合を中継するCBCが数分で打ち切ろうとするなど、減量苦をうかがわせる状況だった。

 相手の田口良一(32=ワタナベ)は、元WBA&IBF統一世界ライトフライ級王者の実力者。昨年5月に日本人初の「統一王者としての防衛戦」を行ったが、敗れてすべてを失った。そこから階級を上げ、再起戦を挟まず世界挑戦するライバルの覚悟に「今の田口さんの状況を考えると、序盤から激しい打ち合いになることも想定している」と田中は慎重な姿勢も隠さない。

 果たして、本当に調整ミスなのか。だが、それは杞憂だった。いざ練習を始めると笑顔で「30分ほど動くので(報道陣の)皆さん、よかったら座っててください」と気遣い。ミット打ちでも鋭い動きを見せるなど、調整に一点の曇りもない。過酷な練習環境の設定や会見前後の一連の言動は、あくまで戦闘モードに突入するために必要な王者の“ルーティン”のようだ。

 前王者の木村翔(30=青木)に判定勝ち。世界最速タイの12試合で3階級制覇を達成して「年間最高試合」に選ばれた一戦から約半年で迎える今回は、田中にとって2度目の全国中継。「軽量級の名王者」として名前を残した田口に勝って、さらに名声を高めたいところだ。