WBO世界フライ級王者・田中恒成(23=畑中)が11日、名古屋市内のジムで、元WBA&IBF統一世界ライトフライ級王者の田口良一(32=ワタナベ)を迎え撃つV1戦(16日、岐阜メモリアルセンター)に向けた練習を公開した。

 WBA王座を7度防衛した実力者との対戦へ「集中」をテーマに掲げる田中は、その中身の一端を次のように話した。

「相手がパンチを出す瞬間をボンヤリとではなく、しっかり見るように意識しています。練習を重ねることで、その感覚は高まってきていると思う」

 試合の展開を予想した上でのプランだ。昨年9月に木村翔(30=青木)に判定勝ちして世界最速タイで3階級制覇を果たした一戦は、昨年の「年間最高試合」にも選ばれた激闘だった。今回も「今の田口さんの状況を考えると、そうなることも想定している」と、再び序盤から激しい打ち合いになると考えているからだ。

 昨年5月に日本人として初めて「統一王者としての防衛戦」を行った田口は、その試合に敗れ、2本のベルトを一気に失い「ただの人」となってしまった。32歳という年齢を考えると、ボクサーとして残された時間が多いとはいえない。3年半にわたって世界王座に君臨したライトフライ級から階級を上げ、再起戦を挟まず、いきなり世界王座に挑戦してくる点にも、ボクサー人生をかけた覚悟が見て取れる。

 田中が挑戦者だった木村戦では、大方の予想を裏切って試合開始から激しく打ち合った。その経験があるからこそ、やはり「挑戦者」の立場の田口が序盤から積極的に仕掛けてくることもあり得る、と想定しているわけだ。

 今回の試合は田中にとっては2度目の全国中継。「軽量級の名王者」として名前を残した田口に勝って、自身の名声を高めることを目指す。