ボクシングのWBO世界ミニマム級タイトルマッチ(26日、東京・後楽園ホール)で、同級2位の挑戦者・谷口将隆(25=ワタナベ)は王者ビック・サルダール(28=フィリピン)に0―3で判定負け。初挑戦での王座獲得はならなかった。サルダールは初防衛。

 立ち上がりはお互いに出方や距離を探り合うような展開。そこから先に主導権を取ったのはサルダールだった。

 昨年7月に当時の王者、山中竜也氏(24)を引退に追い込む強打でベルトを奪い、2015年の大みそかには、この王座を持っていた田中恒成(23=畑中)に挑んでTKO負けしたとはいえ、ダウンを奪った実績もある。

 そのパンチを警戒してか、谷口は踏み込めない。「ジャブのさし合いなら僕の方がうまいと思っていた」という見込み違いもあり、完全に相手の距離で戦う展開になってしまう。

 終盤になると、サルダールはラウンドの残り30秒を切ったあたりから的確にパンチを当てて確実にポイントを稼ぐ。終わってみれば8点差が1人、残り2人も6点差をつける圧勝だった。

 谷口は学生(龍谷大)時代、同門の2階級王者の京口紘人(25)のライバルとしてしのぎを削った。卒業後は揃ってワタナベジムに入門したものの、京口が国内最速となるデビューから1年3か月で世界王者になったのに対し、谷口は東洋太平洋、日本の両王座に挑戦も失敗。ことごとく後れを取った。

 盟友との差を縮める絶好のチャンスも、前日(25日)に「あと一歩の(踏み込める)勇気を持っていけたら」という気持ちを発揮できなかった。

 だがまだ25歳。「皆さんは『完敗』と思ってるでしょうけど、男として完敗は認めたくない」と再起への思いを口にした。