前WBO世界フライ級王者の木村翔(30=青木)が19日、現役続行を発表した。再起戦は来月に中国で予定し、その先には3階級制覇王者との対戦を見据えている。

 昨年9月に同級王座V3戦で田中恒成(23=畑中)に判定負け。「年間最高試合」にも選ばれた激闘の反動からか「やめよう(引退しよう)と思って2か月ぐらいは遊んでました」と振り返る。

 だが「負けてから応援してくれる人が増えた気がする」(木村)こともあって、昨年末には練習を再開した。もちろん目指すは世界王座返り咲きだ。「チャンスがあるなら(階級は)上でも下でもいい」との決意を明かした上で、対戦したい選手として、田中へのリベンジとともに井岡一翔(29=SANKYO)の名前を挙げた。

 木村は2017年7月に上海で北京&ロンドン五輪金メダリストの“中国の英雄”鄒市明(ゾウ・シミン=37)を破って王座を獲得。昨年12月には中国版ツイッター「微博(ウェイボー)」で「日中スポーツ貢献賞」に選ばれるなど、中国では絶大な知名度を誇る。

 一方の一翔は日本では「引退扱い」となっているため試合ができず、昨年大みそかにはマカオで4階級制覇に挑んだ。木村VS一翔となれば国内でも観客動員が期待できるが、一翔がいつ日本で試合をできるようになるかが現時点では不透明で、普通なら暗礁に乗り上げるところ。ただ、木村なら中国でも十分にメインを張れる“実績”がある。やるなら中国で…となる可能性もあるのだ。

 木村は再起に向けて「自分に足りないところをプラスして『進化した木村翔』を見せたいですね」と意気込む。デビュー戦初回KO負けから世界の頂点に上り詰めた雑草魂の持ち主は、どんな第2幕を見せるのか。