元日本スーパーフェザー級王者の尾川堅一(31=帝拳)が2日、東京・後楽園ホールで約1年2か月ぶりの再起戦となるノンタイトル10回戦に臨み、ライト級フィリピン王者ロルダン・アルデア(24)に3―0で判定勝ちした。

 1ラウンドから前に出た尾川は、仕留めたと思われた右を何度も当てるが、倒すことができない。終盤にはアルデアの腰が沈みかけたが、それでも倒せない。「ボクシングを見に来ることは、倒すのを見に来ること」との思いが強すぎての力みと、1年超のブランクの影響は隠せず、ダウンのない判定勝利となった。

 一昨年12月に米ラスベガスで行われたIBF世界Sフェザー級王座決定戦でテビン・ファーマー(28=米国)に勝利したものの、後に薬物違反が発覚し試合は無効となった。

 陽性となった原因はアトピーの塗り薬と思われたが、これを立証することができず、ネバダ州コミッションから6か月、日本ボクシングコミッションからは1年のライセンス停止処分を受けた。処分が昨年12月10日に解除されて、この日の試合を迎えた。

 戦いを終えたリングでインタビューのマイクを向けられても、すぐには言葉が出ない。セコンドからタオルを受け取り、涙交じりの汗を拭うと「正直、怖かった」と打ち明けた。久々のリングはややもの足りない結果になったが「最低限、勝つことはできたので、今年は勝負をかけたい」と出直しへの決意を込めた。