【ボクシング】村田諒太がベガス練習公開 ブラント戦は「まだ思っている夢の一歩」

2018年10月18日 16時30分

練習後、多数の現地メディアに囲まれた村田

【ネバダ州ラスベガス17日(日本時間18日)発】“聖地”で2つの夢をかなえる。ボクシングのWBA世界ミドル級タイトルマッチ(20日=同21日、パークシアター)でV2戦を行う王者の村田諒太(32=帝拳)と同級3位の挑戦者、ロブ・ブラント(28=米国)が市内のトップランクジムで公開練習を行った。村田にとって世界王者として初の聖地決戦。世界の注目も高まるばかりだが、視線はさらに先に向けられている。ボクシング界の将来を背負う王者が胸に秘めた思いとは――。

 多くの現地メディアも取材に訪れる中、村田は約10分と短時間ながら軽く体を動かした。13日の現地入り後も調整は順調で、体調も万全な様子。練習後、インタビューを受けた王者はメインイベンターとして戦うことについて聞かれると「すごくうれしいことだけど、まだまだ思っている夢の一歩」と答えた。

 その「夢」の一つが、各団体のミドル級王座を統一し、絶対王者として君臨していたゲンナジー・ゴロフキン(36=カザフスタン)との対戦だ。この日は帝拳ジムとともに村田をプロモートするトップランク社のボブ・アラムCEO(86)が直々に視察に訪れ、村田の今後について「ゴロフキンと来年東京ドームでやることができれば、タイソン戦より大きなイベントになる」と語った。

 元統一ヘビー級王者のマイク・タイソン(52=米国)は1988年と90年の2度、東京ドームで試合を行った。アラムCEOは、村田が「絶対面白い試合になる」と言い切るゴロフキン戦が実現すれば、この時を上回る盛り上がりになると断言する。

 村田が今回の試合に勝てば、ゴロフキン戦の実現に向けて周囲も動きだす構えだった。だがゴロフキンが先月「カネロ」ことサウル・アルバレス(28=メキシコ)にプロ初の黒星を喫してWBAスーパー&WBC王座から陥落。先行きは不透明になったとも思われていた。だがアラムCEOはそうした見方を否定。村田とゴロフキンの対戦の可能性が消滅していないことを明言した。

 そしてもう一つの「夢」は日本のボクサーの地位向上だ。「世紀の一戦」と呼ばれた3年前のマニー・パッキャオとフロイド・メイウェザーの対決は両者のファイトマネーが総額300億円を超えた。これには及ばないものの、村田と同じミドル級のゴロフキン―アルバレス戦でも総額60億~70億円が動いたと言われている。そうした世界に身を置くことについて米メディアから質問された村田は「お金はそんなに大きなモチベーションではないけど、ボクシング界や社会に貢献できればうれしい」とビッグマネーが動くことの重要性を承知している。

 村田―ブラント戦は、日本ではインターネット配信メディアの「DAZN(ダゾーン)」で放送される。このことについて村田は「日本ではテレビにお金を払う習慣がなかったのに一手を打つ大きなチャレンジだと思います」。

 ゴロフキン―アルバレス戦もベースのファイトマネーは両者合わせて10億円弱。これにペイ・パー・ビュー(PPV)の売り上げに応じた配分が加わることで、取り分が巨額になる。村田―ブラント戦はPPVではないが、これまでより大きな金額を動かすメディアの参入によって「それでお金が回るようになって、日本のボクサー全体の生活が向上するようになれば」と話し、ボクシング界にビッグマネーが流れ込むようになるきっかけとなることを望んでいる。

 アラムCEOは今回の試合を「タフ・テスト」と表現した。2つの夢の実現のために必要なのは、聖地でのハイレベルなパフォーマンス。本場のボクシングファンや関係者をうならせる試合ができるか。全ては村田の拳にかかっている。