“10%の壁”を越えられるか。「ワールド・ボクシング・スーパー・シリーズ(WBSS)」バンタム級トーナメント1回戦を兼ねたWBA世界同級タイトルマッチ(7日、横浜アリーナ)の前日計量が6日行われ、王者の井上尚弥(25=大橋)と元同級スーパー王者ファン・カルロス・パヤノ(34=ドミニカ共和国)はともに一発パスした。

 井上は「KOへのこだわりは毎試合あります。仕事は早い方がいい、何もさせない」と早期決着への高い意欲を語った。ただ、そこで懸念されるのが井上の試合を中継するフジテレビ系の平均視聴率。過去最高は昨年5月、WBO世界スーパーフライ級V5戦の9・7%と、意外にも2桁に届いたことがないのだ。

 視聴率が伸び悩んでいるのは“速過ぎる勝利”が原因の一つ。5月に3階級制覇を果たした試合は1回TKO勝ち。決戦会場は大興奮に包まれたものの、平均視聴率は7・7%。お茶の間のファンは勝利を見届け、ある程度の時間がたつとチャンネルを変える傾向があり、試合が早く終わるほど、視聴率は低迷するという。

 もっとも井上に責任はない。「チャンスがあれば1回からでも倒しにいく。そこを引き延ばすようなことはない」と言うのもボクサーとしては当然だ。「序盤で井上がKO勝ちする」と予想する関係者も多い中で、9日に発表される視聴率は果たしてどうなるか…。(視聴率はビデオリサーチ調べ、関東地区)