“地の利”を生かす。WBO世界フライ級タイトルマッチ(24日、名古屋市・武田テバオーシャンアリーナ)で世界最速タイの3階級制覇に挑む同級1位の田中恒成(23=畑中)が18日、練習を公開した。

 今回がV3戦となる王者の木村翔(29=青木)は過去3回の世界戦のうち2度が完全アウェーの中国で、いずれもKO勝ちという修羅場をくぐってきた。それだけに田中は「負けるかもという危機感はある。(3年前の)世界初挑戦の時もこういうのがあったけど、それに近いものがある」と警戒を強めている。

 とはいえ、勝てばWBA世界ライト級スーパー王者のワシル・ロマチェンコ(30=ウクライナ)が持つ世界最速3階級制覇(12戦)の記録に並ぶ。陣営は会場を完全ホームにするため、太っ腹な手に出た。

 この試合のチケットは7000円から5万円に設定されているが、なんと小中学生は立ち見エリアに限って「無料」で観戦することができる。ボクシングのチケットは、子供が自分で買うとなるとハードルの高い金額で「それならタダでいいから応援に来てください、ということです。子供と一緒に行きたい大人も、無料なら連れて来られるでしょう」(畑中ジム・畑中清詞会長)。

 そうやって一人でも多くの応援団を得て、3階級制覇を後押ししてもらおうというわけだ。「心が折れたほうが負ける。負けられないという気持ちが試される試合」と話す田中がギリギリの状況になった時でも、子供たちの声援が支えになってくれるかもしれない。