決戦へ気負いなしだ。WBA世界ミドル級王者の村田諒太(32=帝拳)が14日、10月20日(日本時間21日)に米ラスベガス・パークシアターで行われるV2戦に向けたスパーリングを公開した。同級2位ロブ・ブラント(27=米国)との防衛戦へのテーマを「自然体」と明かしたが、この日のスパーリングにも“丸腰”で臨んだ理由とは――。

 先週、風邪をひいたために本格的なスパーリングをしたのは4日以来。その影響からか、最後の4ラウンド目はややペースダウンしたものの、村田は「ディフェンスを破られないガードができたし、来週から体がスパーリングに慣れていってくれれば」とまずまずの手応えを語った。

 試合まで1か月以上の期間があるとはいえ、10日ぶりのスパーリングとなれば、遅れを取り戻すために何か明確なテーマがあったはず。だが村田は「何かをやろうとかするとダメになる。ロクなことがない」。いわば“丸腰”で臨んでおり、さらに「自然体で」とも話す。どういうことか。

 仮に対戦相手を徹底的に研究して完璧に対策を練ったところで、試合でその通りに動いてくる保証などどこにもない。むしろ「こうやって戦う」との固定観念が強すぎると、相手が想定外の作戦をした場合などに対応できないことにもなりかねない。

 村田は早ければブラント戦後にも、15日(日本時間16日)にラスべガスで行われるWBAスーパー&WBC世界ミドル級王者ゲンナジー・ゴロフキン(36=カザフスタン)―サウル・アルバレス(28=メキシコ)戦の勝者との対戦を見据える。ここで足をすくわれるようなことがあってはならない。もちろん「ただ防御しているだけでは相手のポイントになってしまうから、3発打たれたら打ち返す。そこはうまくできたと思う」とのベースがあった上で、ブラントがどんな戦い方で挑んできても対応できるように「自然体」でいく、というわけだ。

 相手のブラント陣営には、王者への敬意に欠ける挑発的な言動があっただけに「ナメるなよ、という感じ。今回は『倒したい』という気が、なんとなく芽生えてる」と本場リングでのKO防衛に強い意欲を見せる。ゴロフキン対アルバレスとは嫌でも比較されるが、「自然体」を武器に中身では負けない戦いを見せてほしいものだ。