【アマボクシング問題】4団体世界王者・高山勝成が“ドン被害”告白

2018年08月07日 16時30分

会見した高山

 ボクシングで日本初のWBA、WBCなど世界主要4団体制覇をミニマム級で成し遂げた高山勝成(35=名古屋産大)が6日、自身のアマチュア登録を認めない日本ボクシング連盟を相手取り、日本スポーツ仲裁機構(JSAA)に仲裁を申し立て、大阪市内で会見を開いた。アマとして2020年東京五輪出場を目指す高山は、“ドン”山根明会長(78)にストップをかけられた。ドンの連盟“私物化”による被害者がまた一人、悲痛な思いを激白した形だ。

 高山は昨年4月、プロを引退。「2020年には37歳になる。自分は東京五輪を現役の集大成に定めた。またプロとは違う、国を背負った最高の舞台で、各国の強い、素晴らしい選手とこぶしを交えたい」と20年東京五輪挑戦を目指した。

 実はアマチュアを統括する国際ボクシング協会(AIBA)は、16年リオデジャネイロ五輪からプロの出場を解禁。世界的な流れから見ても、高山の「アマとしての現役復帰」は認められるはずだ。そこに立ちはだかったのが、山根会長による“私物化”が問題になっている日本ボクシング連盟だった。日本連盟はプロ経験者の試合出場を認めていない。

 高山は昨年6月、愛知県ボクシング連盟に登録書類を持参したが、不受理にされた。そこで高山は山根会長にアマチュア登録を直談判。しかし、会長から「アマチュアは教育だが、プロはお金のため、生活のために戦っている。過去90年、プロとアマチュアは一線を引いてきたので今、戻すことはできない」と言われたという。AIBAのルールを山根会長が無視した格好だ。

 それでも高山は、アマチュア登録を求めて署名活動を実施。今年4月にはスポーツ調停申請も行ったが、ここでも連盟は受け取りを拒否。東京五輪まで残り2年を切ったこともあり、調停を諦め、法曹関係者などが判断を下す「仲裁」に踏み切った。

 また高山は、全国高等学校体育連盟(高体連)ボクシング専門部の佐藤秀行委員長と関係者のA氏に、山根会長が「おまえら、殺してしまうぞ!」と恫喝し(8月4日発行本紙既報)、その後2人を連盟から除名処分にしたことに心を痛めていた。2人が除名された理由が「高山にあった」と言われているからだ。

 昨年3月19日に行われた高校指導者対象の講習会に、2人が高山を呼んだことが山根会長の逆鱗に触れたとされている。高山は「将来、僕が教師としてボクシング競技に携わる可能性があって、少年少女に今までの経験を話してほしいと、連盟理事のA先生からお願いされました。僕は『可能ならお願いします』と引き受けた。後ほど、それが原因でA先生が除名されたと聞いた。ショックで心を痛めました。憤りを感じます」。

 高山にも、ボクシングの未来を担う若者にも、双方にメリットがあると思われる講習会がなぜ除名の理由となるのか。

 ある県連関係者は「文部科学省からも高山君に頼むことに許可をもらってたし、高体連も、予算が安く済むので喜んでいた。ところが、それを山根さんのところに持って行ったら『俺に内緒でなんや! お前らなんか除名や!』と恫喝されたそうです。自分を飛ばされたことが気に入らなかったんですよ」と明かす。

 会長の専制ぶりが次々と明らかになっているなかで、高山と弁護団は「(連盟の)ガバナンスというところは、正しく運営していただきたいと考えている」とし、あくまで高山の五輪に向けての道筋づくりに全力を注ぐ方針で、会長や理事の辞任を求めてはいない。だが、仲裁が行われるには連盟の合意が必要で、難航する可能性もある。

 ちなみに山根会長は過去に暴力団組長と関係があったことを認め「約50年前の話で若気の至り」と話している。スポーツ庁の鈴木大地長官(51)は6日、共同通信の取材に応じ、「反社会勢力との交友が事実であれば、一刻も早く辞めるべきだ」と述べ、会長の辞任を求める意向を示した。