ボクシングの大橋ジムは21日、所属する東洋太平洋スーパーフライ級王者で、WBCバンタム級9位の井上拓真(22)が、9月11日のWBC世界バンタム級指名挑戦者決定戦(東京・後楽園ホール)で、六島ジムに所属する東洋太平洋同級王者(WBC同級3位)のマーク・ジョン・ヤップ(29=フィリピン)と対戦することを発表した。拓真は3階級王者、井上尚弥(25=大橋)の弟。

 一度は流れた、世界初挑戦が再び近づいてきた。拓真は2016年の12月に当時のWBO世界バンタム級王者、マーロン・タパレス(26=フィリピン)に挑むことが決まっていた。ところが練習中に右拳を負傷して手術。約1年のブランクを強いられることになり、試合は無念の中止となった。

 WBCのバンタム級王座は、前王者ルイス・ネリ(23=メキシコ)が今年3月1日の山中慎介氏(35)との試合で計量失格となったことで現在は空位。今後王座決定戦が行われ、そこで新王者となった選手に、拓真―ヤップ戦の勝者が「指名挑戦者」として挑むことになる。

 ケガで思わぬ遠回りを強いられた拓真だが「体もバンタム級にフィットしてきた。自分のペースで試合をして、最終的にKOできたらいい」とようやく巡ってきたチャンスにモチベーションは高い。

 先月には兄の尚弥がWBAのバンタム級王座を獲得して3階級制覇を達成した。

 一方、WBCバンタム級には歴代王者に辰吉丈一郎(48)、長谷川穂積氏(37)、山中氏といったビッグネームが名前を連ねる。

「そこに名前を残して、小さいころからの夢でもある『兄弟で世界王者』を目指したい」の目標をかなえるためにも負けられない一戦だ。