プロボクシングのダブル世界戦が25日、東京・大田区体育館で行われ、WBA世界バンタム級タイトルマッチは同級2位の井上尚弥(25=大橋)が王者ジェイミー・マクドネル(32=英国)を1ラウンド1分52秒、TKOで破り新王者に。井岡一翔のプロ18戦目を抜いて日本最速となる16戦目で3階級制覇を達成した。

 一瞬の出来事だった。

 井上は試合開始と同時に左ボディーを打ち込んでいく。明らかにダメージの見えるマクドネルは1分過ぎに左ボディーフックで最初のダウンをした。

 何とかカウント8で立ち上がったののの、一気に仕留めにきた井上の猛攻にたまらずセコンドがコーナーに駆け上がって棄権の意思表示。圧巻の112秒での勝利だった。

 この日会場入りしてから計測された両者の体重は井上の59・5キロに対して、マクドネルは66・3キロにまで増えていた。

 いくら増えようが罰則はなく、あくまで参考値。そのためマクドネルはジャージーとシューズを身に付けたまま計ったとはいえ、5〜6キロの“ハンデ”を負っての戦いだったが、前日の宣言通りにボディーを狙って、仕留めた。

 2014年4月6日に、アドリアン・エルナンデス(32=メキシコ)を6ラウンドTKOで破り、初の世界ベルトとなるWBC世界ライトフライ級王座を獲得した思い出の会場での3階級制覇。

 同年12月30日には、WBO世界スーパーフライ級王者のオマール・ナルバエス(42=アルゼンチン)を2ラウンドで2度倒す戦慄のKO勝利で2本目のベルトをゲット。その時を思い起こさせる豪快な勝利で3階級制覇を達成した。

 そして今後は超高額トーナメント「WBSS」(ワールド・ボクシング・スーパー・シリーズ)を舞台にした戦いへ「オファーが来てます。参加します」と宣言した。

 古くはファイティング原田(75)に始まり、辰吉丈一郎(47)、長谷川穂積(37)。近年では山中慎介(35)と続いた「黄金のバンタム級」で井上がどんな伝説を築いていくかが楽しみだ。