またまたまた…波乱の予感だ。ボクシングの元3階級制覇王者の亀田興毅(31=協栄)が5日、東京・後楽園ホールで「最後の現役復帰」と題して元WBC世界フライ級王者ポンサクレック・ウォンジョンカムさん(40=タイ)と6ラウンドのスパーリングを行ったが、試合後に現役続行を宣言し波紋を広げている。

 日本ボクシングコミッション(JBC)はポンサクレックさんへのライセンス交付を認めなかったため、この日行われたのは「スパーリング」。興毅は2回の開始直後にカウンターからのワンツーでダウンを奪い、安全管理のために立ち会ったレフェリーがストップをかけたものの、勝敗は公式記録に残らない。

 とはいえプロ初黒星を喫した相手に“TKO勝ち”でリベンジ成功。これでボクサー人生にピリオドを打つはずだったが、最後の10カウントが5回鳴ったところで「ちょっと待って」と言って「あと一人。ローマン・ゴンサレス(30=ニカラグア)とやれるように交渉したい」。軽量級最強と言われた元4階級制覇王者の名前を出して、「一夜限りの現役復帰」を撤回し再びリングに上がるというのだ。さらに興毅は「戦いたい相手は2人いた。一人はポンサクで、もう一人がロマゴンだった。やれるならいつでもいい」とも…。もっともロマゴンの名前は事前に誰にも打ち明けておらず、協栄ジムの金平桂一郎会長(52)も「もう一人って誰なんだろうって思ってました」。このため、ロマゴンをプロモートする帝拳ジムには何の根回しもされていない。そうした状況で、一方的に名前を挙げるのはビジネスマナーに反することになる。

 今後交渉に当たることになる金平会長は「ケセラセラ(なるようになる)ですよ」と言うが、この日のチケットは、リングサイド席が通常の興行のほぼ倍額の2万円だった。「これで最後」と信じてチケットを買って来場したファンは「撤回」をどう受け止めたのだろうか。