総合格闘家で元北京五輪柔道100キロ超級金メダリストの石井慧(31)が約1年ぶりに日本で復帰戦を行うことが31日、明らかになった。“IQレスラー”こと桜庭和志(48)が旗揚げする格闘技イベント「QUINTET」の初陣(4月11日、東京・両国国技館)に出場する。同イベントは組み技のみで戦うグラップリングマッチ大会。強さを求めてクロアチアに移住して1年を過ごした石井は、久々の日本でどんな戦いを見せるのか。

 昨年4月16日のRIZIN横浜大会でヒース・ヒーリング(39=米国)に判定勝ちして以来、日本の戦場から遠ざかっていた石井がいよいよ帰ってくる。舞台は桜庭が主催する新格闘技イベント「QUINTET」だ。同イベントには世界中から選ばれた4チームが参戦。5vs5の団体勝ち抜き戦でワンデートーナメントを行い、優勝を争う。発表前から世界中の注目を集めており、大会は世界最大の総合格闘技団体UFCの動画配信サービス「UFCファイトパス」で放送される予定だという。

 桜庭はすでに自身のSNSで同イベントにジョシュ・バーネット(40=米国)、所英男(40)らと組んで出場することを発表した。一方の石井は、PRIDEでも活躍したユン・ドンシク(45=韓国)やシドニー五輪柔道男子60キロ級銀メダリストのチョン・ブギョン(39=韓国)らと最強柔道家軍団を結成して優勝を狙う。

 石井は「ユン・ドンシクさんがこの大会に向けて、柔道をバックボーンにした選りすぐりの寝技師を集めていました。そこで僕に『出てくれ』という話があり『そういうことなら俺だろ!』ということで受けさせてもらいました」と出場に至る経緯を説明した。特に石井が対戦を希望しているのがバーネット戦だ。

「実はジョシュとは、以前にもグラップリングで戦う可能性があったんですよ。IGFに出ていた時、猪木さんから『ジョシュとグラップリングでやれんのか!?』って言われて。『やれます』と言ったんですが、なくなってしまった。勝ち抜き戦なのでどうなるかは分かりませんが、楽しみです」と、石井は夢の一戦に向けて闘志を高めている。

 ひたすら強さを求めてクロアチアに移住しミルコ・クロコップ(43)の指導を受け始めてから1年がたった。現状については「体もムキムキに仕上がっています」と自信たっぷり。2018年の抱負を問うと「改めて、になりますがUFCに照準を合わせてやっていきたい。ずっと目指してきたものの、なかなか(参戦の)機会がなかったので」と断言。クロアチアで鍛え抜いた肉体に手応えをつかんだこともあって「年齢的なこともあるし今年こそ。ヨーロッパの団体でベルトを取って、そこからさらに…と考えています」と再び世界最強の座を狙う決意を力強く口にした。

 2016年を3連敗で終えた石井は17年2月に単身クロアチアへ渡った。ミルコに「あんな真面目なヤツ見たことがない」と言わせるほど練習に打ち込み、昨年は2勝1敗と勝ち越した。特に昨年最後の試合となった10月21日オーストリアでのビヨン・シンデベルグ戦は1R2分32秒、アームロックで勝利。15年8月以来の一本勝ちで復活をアピールしている。

 MMAファイターとして新たな局面を迎えた石井。両国の大舞台で進化した姿を披露するつもりだ。