女子プロレス「シードリング」に所属する人気女子レスラーの世志琥(23)が、総合格闘技(MMA)マットに初参戦することが23日、本紙の取材で明らかになった。オファーしたのは韓国のMMAイベント「ROAD FC」で、2月11日にソウル市のチャンチュン体育館で開催する大会への参戦が内定した。畑違いともいえるMMAへの挑戦は、2年前に起きた“あの試合”がきっかけになったという。

 世志琥に異例のオファーが届いたのは今月上旬のこと。格闘技関係者によると、触手を伸ばしたのは韓国に本部を置き、2010年に設立された「ROAD FC」だ。「日本人で格闘技ができる女子選手を探していたところ、世志琥に白羽の矢が立った。ネットを通じて安川(惡斗)との試合が目に留まったようだ」(同関係者)

 2015年2月22日のスターダム後楽園ホール大会で世志琥は安川惡斗(30=引退)と対戦。パンチで殴り続けて安川に重傷を負わせたこの試合は“凄惨マッチ”として話題になった。安川戦の後、一度は現役を引退したが、昨年3月にシードリングで現役復帰。だが以前のような注目を集めることができず、新たな方向性を模索している最中だった。

 一方の「ROAD FC」は15年7月25日に東京・有明コロシアムで日本大会を開催。“韓流大巨人”チェ・ホンマン(36)らが出場して盛り上がり、日本を大きなマーケットとしてとらえている。両者の思惑が一致する形で、世志琥も参戦を受諾。対戦相手は未定だが、詰めの作業が終わり次第、正式に発表される見込みだ。

 世志琥にとってMMAはこれが初挑戦になるものの、かねて潜在能力の高さを指摘されている。日本の格闘技イベント「DEEP」が参戦オファーを検討したことがあるほか、昨年末の「RIZIN」でも“猛女”ギャビ・ガルシア(31)の対戦相手の候補に名前が挙がったことがあった。

 昨秋からは同団体の高橋奈七永(38)とともに“孤高の天才”田村潔司(47)が主宰するジム「U―FILE CAMP」で打撃と寝技の練習を積んでいる。昨年12月には高橋が「世界一危険な格闘技」ラウェイに参戦しKO勝ちしており、これに触発されたことも大きかったようだ。

 シードリング関係者は本紙に「今はお答えできません」と話すにとどまったが、“凄惨マッチ”から2年。生まれ変わったヤンキー娘が新境地を開拓する。