那須川天心 vs 武尊は30年前なら流行らなかった!? 石井和義館長が明言するワケ

2022年06月25日 05時15分

左から武尊、天心(東スポWeb)
左から武尊、天心(東スポWeb)

【取材の裏側 現場ノート】立ち技メガイベント「THE MATCH 2022」(19日、東京ドーム)は約6万人の観客を集め、PPV売り上げなどを含めて推定50億円超の規模となる超大型興行となった。

 本紙もこのイベントについては事前からさまざまな関係者に取材を敢行。K―1の創始者でもある正道会館の石井和義館長(68)にもインタビューに応じていただき、那須川天心と武尊による「キック頂上決戦」の予想と試合後の解説、大会についての分析や格闘技界の今後など多岐にわたりコメントをもらった。

 そんな中、印象的だったのが「軽量級をメインにビッグマッチが開催されることが予想できたか」という質問に対する答えだ。石井館長はこの問いに「予想できなかった。ビックリした。(関係者の)努力のたまものですよね」と素直な感想を明かし、こう続けた。

「もちろん、日本人同士の対決が面白いのは分かっていたんです。そうなると60キロくらいが一番(競技人口が)多いから、あの階級が一番いいということも分かっていた。でも、僕が93年にK―1をやった時は、プロレス全盛時代だったんですよ。ヘビー級全盛時代。川崎球場でFMWがやっていて、福岡ドームで新日本がやって、全日本が武道館で、どこも超満員。その時代に軽量級が、はやるわけないんですよ。だから、軽量級の方が選手層が厚いのはわかっていても、ヘビー級で勝負せざるを得なかった」

 それでも佐竹雅昭や武蔵ら日本人選手やアンディ・フグ、フランシスコ・フィリオといった日本人のファンが感情移入しやすい選手の起用で人気爆発となった。石井館長は「ヘビー級を盛り上げたからミドル級のジャパンができて。そこからやっと65、60キロをつくろうとした矢先だったんですよ。『東京国税局です』って…」と苦笑いした。

 軽量級を浸透させる難しさを身に染みて痛感しているからこそ、58キロ契約の那須川VS武尊が約6万人を動員した「すごみ」を知っているわけだ。石井館長は「こんなの世界にないですよ。国内で、その国の選手同士だけで盛り上がってドーム級なんて、本当に素晴らしい」と2人はもちろんそれを実現させた関係者を褒めたたえた。

 なお、最後に気になることも聞いてみた。〝もう一度、自ら興行を行う可能性はあるのか?〟という点だ。これに石井館長は「ないです。僕はファンとして見続けていきたい。もうそういう時代ではないから。10年前とかだったらそういう可能性もあっただろうけど、もう若い人が若い力でやっていく時代ですよ。僕はやりきった」。だが今後も〝応援団長〟として格闘技界を盛り上げてくれることは間違いない。(格闘技担当・前田 聡)

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