シンガポールの格闘技イベント「ONEチャンピオンシップ」(20日、シンガポール・インドアスタジアム)でのグラップリング戦で、〝バカサバイバー〟こと青木真也(39)が柔術界の新星ケイド・ルオトロ(19=米国)に判定負けを喫した。

 3月の秋山成勲戦で2ラウンドTKO負けを喫してからわずか2か月での〝復帰戦〟となった青木は、世界最高峰の柔術家を相手に打撃なしのグラップリングルールで対戦した。試合は下馬評通り、序盤からルオトロの攻撃を青木が交わし続ける展開。青木は組み手争いをしつつ金網を背にして戦ったが、足を取りに来た相手をかわそうと背中を見せたところで組み付かれバックを取られてしまう。

 それでも青木はここから猛攻をしのぐ。背中の相手を金網に押し付けるなどしながら徐々に体勢を入れ替えて脱出することに成功した。ところが今度は組み付いたところからルオトロのまさかの動きに意表を突かれる。金網を蹴って飛び付かれ、そのまま回転して再びバックを取られた。

 そこから足を4の字で組まれ体を固定されるなど苦しい状況になったが、それでも青木は全攻撃をしのぐ。どう見ても不利な状況を逃げ続けると再び立ち上がることに成功した。だが、ここで防戦一方の青木にイエローカード。さらに残り1分となったところで強引に引き込まれて下から足と手で三角絞めの様に首を絞めるバギーチョークで捕獲されかけたが、これもギリギリでかわして10分経過で試合終了のゴングが鳴らされた。

 判定は攻め続けたルオトロに勝ちが告げられる。だが一本決められずにうなだれるルオトロに対し、驚異のディフェンス力を披露した青木は舌を出して笑顔と結果とは対照的。勝てはしなかったものの、戦前の「塩漬けにしてやる」との予告は果たしたということか。ルオトロは試合後、インタビューで「相手がタフだった」と首を振った。

 なお、ルオトロの双子の兄弟タイ・ルオトロも続く試合でグラップリング戦に登場。こちらは柔術世界王者の総合格闘家ゲイリー・トノンを2分足らずでダースチョークで仕留め、実力を満天下に示した。