新格闘技イベント「REAL1」が23日、有明コロシアムで行われ、ヒクソン・グレイシー(55)の次男、クロン・グレイシー(26)が総合格闘技デビュー。韓国人レスラー、キム・ヒョンス(26)を65秒で瞬殺した。

「メタモリス」など組み技の大会で青木真也(31)ら名だたる強豪を倒してきたクロン。前日のルールミーティングでは「グラウンドポジションではギブアップか失神以外で試合を止めるな」と“完全決着戦”を要求する強気ぶりだったが、打撃に関しては未知数だった。

 いざオープンフィンガーグローブを装着しても、クロンに打撃をやる気はない。アッという間にグラウンドに引き込むと、三角絞めから腕ひしぎ十字固めへ流れるように移行。ギブアップを強奪した。

 試合後、クロンは「タフな選手と想定し、準備を万端にしてきた。早く決着がつけられよかったが、もう次戦の調整に入っている」と冷静にコメント。さらに「次はもっとタフな選手とやる覚悟はある。私の希望はラウンドを5分じゃなく、10分にしてほしい」とさらなる“ルール変更”を要求する貪欲さも見せた。

 父・ヒクソンは「この日のために長い間取り組んできたのでこの結果は当然。親、コーチとしての期待はあるが、試合場に立てば一人の選手。私にはどうしようもない。『遺伝子』に任せるしかない」と完勝劇にも浮かれる様子はなかった。

 息子のデビュー戦を「100点」としながらも「ただ次が満点かは分からない。今日はすべて完璧だったが、すべて直してほしいとも思う。これという課題はない。しかし練習を真剣にすればさらに進化できると思う。私のようにね」と何とも厳しいアドバイスを送っていた。

 大会を運営する「ファイティング・グローブ社」山田重孝代表は「次の相手はストライカー。すでに名乗りを上げている選手がいます」と次戦候補を示唆。来年は春、秋、年末の3大会を予定しているという。初陣を飾っても浮かれる様子もないヒクソン親子。クロンの快進撃は当分続きそうだ。