〝世紀の大凡戦〟――格闘王・前田日明氏(62)が、世界中の注目を集めた6日(日本時間7日)のボクシングの元5階級制覇王者フロイド・メイウェザー(44)と人気ユーチューバー、ローガン・ポール(26=ともに米国)のエキシビションマッチをバッサリ斬り捨てた。

 試合はボクシングルールの3分8ラウンド(R)で行われ、中盤から後半にかけてメイウェザーの一方的な展開となった。だがクリンチを繰り返すポールからダウンを奪えず、規定によりジャッジによる判定はなし。白黒つかない灰色決着となった。

 しかも〝抱きつき凡戦〟を見せ続けたポールが「世界最高のボクサー相手にここまでやったんだ。やればできるんだよ。不可能なんてない」と火に油を注いだため、世界中で大ブーイングの嵐となった。

 なぜこんなトホホな結末になってしまったのか。「リングス」の30周年を記念したポップアップストア「ASTRAL STEP」が開催されている東京・三軒茶屋の「HOLY SHIT」で本紙の取材に応じた前田氏は「年を取ると心臓の最高心拍数が落ちて、スタミナが落ちたり、激しく速い動きが続かなくなる」とメイウェザーの衰えを指摘。さらに油断や過信もあるとした。

「今回の相手は素人じゃないですか。ちょっとボクシングの練習をしたかもしれないけど、メイウェザーから見たら赤子の手をひねるようなもの。自信がありすぎて、たいした練習もやらないだろうし、適当にやってケガだけせずに、お金儲けすればいいというのはあったんじゃないですか? もともとメイウェザーが真剣にするとは思えなかった」

 その上で世界的に注目を集める傾向にあるユーチューバーらインフルエンサーの格闘界参入について「一時的なものでしょう。いずれ気の短いプロ選手がユーチューバーをケガさせ、そういうのは止まる」と分析した。

 それを裏付けるのが若き日の自分の姿だ。店内に飾られたWWFインターナショナルヘビー級王座を巻く1984年の写真を見ながら「このころ(同じ名前のベルトを持っていた)藤波(辰爾)さんと統一戦をやる話もあったんです。その時は、もし実現したらどんな手を使っても〝やってしまおう〟と思ってたんですよね」と振り返る。

 それを踏まえ「今もそういう若者がいると思います。俺だったら、ちゅうちょなくやっちゃいますよ。ちゃんと契約書を書かせてから。今の格闘家は優しいですよ。やっちゃえばいいんですよ」と説得力ありすぎな理由を語った。

 予言は的中するのか。ちょっとだけ〝令和の前田日明〟登場に期待してしまうのは不謹慎だろうか。