IGF北朝鮮大会に米国選手参戦の波紋

2014年08月18日 07時10分

猪木氏は笑顔で「問題なし」を強調するが…

 プロレス・総合格闘技団体「IGF」の総帥、アントニオ猪木氏(71)が開催する北朝鮮大会(30~31日、平壌・柳京鄭周永体育館)に4人の米国人レスラーが参戦することが、本紙の取材で明らかになった。19年前の北朝鮮大会にも米国人選手は参戦しているが、当時とは状況が全く異なる。ブッシュ政権が「悪の枢軸」と名指しで批判して以来、米朝関係は緊張状態が続いているからだ。果たして米国人レスラーは無事生還できるのか、猪木氏を直撃すると…。

 関係者によると、北朝鮮大会に参戦する米国人選手は“野獣”ボブ・サップ(39)、“ギター男”ジェフ・ジャレット(47)、エリック・ハマー(34)、ジョン・アンダーセン(42)の4人のレスラー。すでにビザの取得手続きを済ませているという。

 前回1995年に平壌で開催した「平和の祭典」では米国のレジェンドレスラーで“ネイチャーボーイ”ことリック・フレアー、スコット・ノートン、リック&スコットのスタイナー兄弟らが出場。フレアーは猪木とメーンイベントを戦った。しかし、当時とは状況が異なる。北朝鮮を「悪の枢軸」と批判したブッシュ政権以降、核開発問題をめぐり、両国は対立。北朝鮮はたび重なる制裁にもかかわらず、ミサイル発射や核実験を繰り返し、反発の色を強めている。米朝関係は緊張状態にあると言っていい。

 日本や韓国では人気者のサップも、北朝鮮では「誰も知らない」(猪木)。つまり、ただのデカい米国人で“敵視”される可能性は十分ある。

 さらに米国ではサップ以上の知名度を誇るジャレットは、トレードマークのギターを凶器として使用するのが定番。業務提携のため来場した新日本プロレス「G1クライマックス優勝決定戦」(10日、埼玉・西武ドーム)では棚橋弘至(37)の頭を殴打し、極悪軍団「バレットクラブ」入りを表明した。北朝鮮にもギターを持ち込み米国マットと同じ悪行ざんまい…となると、国民感情をあおり、あらぬ事態が起こっても不思議ではない。

 しかし、当の猪木氏は北朝鮮の反米感情について「米国民に対してのはない。(米国が)政府に制裁かけて、また(北朝鮮が)軍事演習をやって…」とあくまでも政治的な問題ととらえており、民間レベルでのイベントでの不安を一掃した。大会の模様は通信社や大手テレビ局を通じて米国にも配信されるだけに、サップ、ジャレットを含む米国勢が果たすスポーツ外交に期待している。

 一方、新日プロと協力関係にあるジャレットの北朝鮮大会投入で、日本マット界にも波紋が広がる。だが、細かい事情を把握していない猪木は「棚橋も来ればいい。ムッフフ」と話すばかり。団体間の話題が沈滞しているプロレス界に一石を投じる“両てんびん参戦”を歓迎した。

 その他の参戦レスラー、対戦カードを含め、北朝鮮大会の全容はまだ明かされていないが、水面下ではさまざまなプランが進行中。燃える闘魂の“仕掛け”でどんな成果が出るのか。