“伝説の格闘家”ヒクソン・グレイシー(54)が26日、グレイシー一族の後継者に次男のクロン(25)を指名。大役を担ったクロンは、市場が低迷する日本の総合格闘技界の再興に意欲をみせた。

 この日は年内開催予定の新格闘技イベント「REAL FIGHT CHAMPIONSHIP」で、クロンの総合デビューが正式発表された。マッチメークを含む総合プロデューサーには元格闘家の須藤元気が就任。大会を運営する山田重孝代表の話では、第1弾の会場は関東圏の最大1万人収容規模。大相撲の土俵を模した円形金網リングを使用し、目玉はかねて格闘技界から熱視線を集めてきたクロンで、対戦相手には日本人選手を予定している。

 試合当日にクロンのセコンドに就く予定のヒクソンは「一族直系の代表者。一番弟子です。私の柔術をよりよくしてくれる。私よりも能力は高い」と絶賛。数々の不敗神話を継承する男として、クロンを任命した。

 一方で現在、新日プロにスポット参戦中のホーレスとダニエルの両グレイシー一族には超辛辣だ。間の悪いことに前日(25日)の新日・横浜アリーナ大会ではホーレスは桜庭和志との異種格闘技戦、ダニエルは中邑真輔とのIC王座戦に揃って敗北したばかり。

 ヒクソンは「私たち一族の教えを覆した。彼らは家族だが、練習を一緒にすることはない。戦ったことも知らなかった」と関心すらなく事実上の破門宣告だ。

 名門・グレイシー一族の未来を託されたクロンも「(ダニエルたちから)小さい時に柔術を教えてもらったけど、プロレスと柔術は別の商売だと思う。自分と父親はやらない。日本でデビューして格闘技の人気が出てくれればうれしい。相手? 現役で実力がトップの人と戦いたい」。ヒクソンも認めたクロンが、いよいよベールを脱ぐ。