“キック界の神童”那須川天心(20)が22日、立ち技打撃格闘技イベント「RISE WORLD SERIES 2019」の58キロ級トーナメント決勝(9月16日、千葉・幕張メッセ)に向けてさらなる進化を遂げると誓った。前夜に衝撃を与えた「胴回し回転蹴り」に込めた思いを明かすと同時に、今後も格闘界の常識を打ち破る決意を示した。

 大阪市内で行われた一夜明け会見に、那須川は青いスーツ姿で登場。胴回し回転蹴りで勝利したスアキム・PKセンチャイムエタイジム(23=タイ)との準決勝を「精度を高めるために練習してきたことが生きました」と笑顔で振り返った。

 また志朗(26)との決勝については「タイで(試合を)やっているので日本での知名度がそれほどないかもしれないが、日本の中では一番強い選手。KO決着で終わらせたい」と語気を強めた。

 注目の日本人対決に向け、別のテーマも定める。それが常識の破壊だ。「日本って常識になかったものを受け入れられない人が多いじゃないですか。他の国よりも。そういうのが変わったらいいなって思う。変化とか新しいものはどんどん受け入れて、それから『いいものはいい。悪いものは悪い』ってするようになってほしい」

 2016年末には初めて総合格闘技に挑戦し、3日間で2勝を挙げた。さらに昨年大みそかはボクシングの元5階級制覇王者フロイド・メイウェザーとエキシビション戦を敢行。常識にとらわれないハイリスクな戦いで格闘界を盛り上げてきた自負がある。前夜の胴回し回転蹴りもその一環だ。体を回転させて放つ空手技だが、仕掛けた後に体がマットについて試合が止まるため、「かけ逃げ」のマイナスイメージを持つ技でもある。

 だが「僕の胴回しにもいろいろ言う人がいますけど、それも常識にとらわれているんです」と主張するや「今までこれができた人間がいるのかっていう話で。例えば何発も出してまぐれで当たるというなら分かりますけど、僕は一発しか出してません。その一発がスアキムだけじゃなくて堀口(恭司)選手にも効いたし、中村(優作)選手の鼻も折った。かけ逃げの常識を破り必殺技に昇華させた? そう、そういうことです」と続けた。

 決勝でも秘策がある様子で「格闘技にとらわれず、いろいろなところから吸収して、進化し続けます」と豪語した。想像を超える新技の披露に期待だ。