突然死・大杉漣さん 北野武監督と東スポ映画大賞への思い 25日授賞式直前の悲報

2018年02月22日 16時30分

第8回東スポ映画大賞授賞式に参加した大杉さん(左)

 なぜこんなに早く逝ってしまったのか――。北野武監督(71=ビートたけし)の映画「ソナチネ」(1993年)や「HANA―BI」(98年)などに出演、テレビドラマやバラエティー番組でも親しまれた俳優の大杉漣さんが21日午前3時53分、急性心不全のため死去した。66歳だった。大杉さんは今年表彰の第27回東京スポーツ映画大賞(ビートたけし本紙客員編集長が審査委員長)で2度目の助演男優賞を受賞。25日の授賞式にメッセージを送る予定だった。北野映画の常連でもあった大杉さん。たけしへの届かなかった思いとは――。

「信じられない…」――。関係者の誰もがそう声を揃えるほど、大杉さんの訃報は突然だった。同日夜に放送されたテレビ東京系ドラマ「バイプレイヤーズ~もしも名脇役がテレ東朝ドラで無人島生活したら~」では元気な姿が見られたが、番組終了後に「大杉漣さんが、本日急逝されました。心よりご冥福をお祈りいたします。」とテロップが流された。

 大杉さんは21日午前3時53分に永眠。前日20日に同ドラマの撮影を終えた後、ホテルに戻り、食事を取っていた時に体調不良を訴え、松重豊ら共演者、関係者らに付き添われ病院に搬送された。共演者や家族がみとったという。葬儀・告別式は近親者で営む。

 大杉さんといえばベネチア国際映画祭で金獅子賞に輝いた「HANA―BI」や「ソナチネ」など、北野映画の常連だった。昨年公開された北野監督の最新作「アウトレイジ 最終章」にも出演していた。この演技をビートたけし審査委員長が絶賛。本社制定の「第27回東京スポーツ映画大賞」で助演男優賞を受賞した。

 大杉さんの受賞は、これが2度目のこと。99年表彰の「第8回東スポ映画大賞」では、「HANA―BI」での演技を評価され、助演男優賞を受賞した。今回は実に19年ぶりの受賞だったのだ。

 今年の東スポ映画大賞授賞式は今週末、25日に都内のホテルで行われる。ただ大杉さんサイドから「残念ながら欠席させていただきます」との連絡が本紙に入っていた。その理由は体調不良など、健康面の理由ではなかった。授賞式当日、ドラマやCMの撮影が入っていたため、「どうしても行けない」というのだ。

 大杉さんは、助演男優賞に選んでくれたたけし審査委員長に感謝の意を示し、授賞式にどうしても出席したいという意向を持っていた。だが、もともと入っていた仕事のために断念。それでも「どうしても感謝の思いを伝えたい」との思いから、ビデオメッセージを送る予定だった。

 これにも裏話がある。当初はビデオメッセージではなくコメントだけを送る予定だった。「アウトレイジ 最終章」で同じく助演男優賞を受賞した大森南朋に「北野監督への思いを託そう」と計画していたのだ。ちなみに大杉さんと大森は、北野監督の「Dolls」(02年)でも共演したことがある“盟友”。そのため大森に思いを託そうと考えたが、大杉さんは「やっぱり、どうしても自分の言葉でたけしさんに感謝を伝えたい」と考え直し、ビデオメッセージに変更したというのだ。

 実はそのビデオメッセージの撮影を予定していたのは23日だった。この日は前出の「バイプレイヤーズ」の収録がある日。撮影中で慌ただしいにもかかわらず「どうしても時間を作るので」ということで、本紙もビデオメッセージの撮影を予定していたが、それもかなわぬことになってしまった。

 予定していた撮影ができなくなったため、所属事務所関係者から「ホントに急なことで、すいません」との連絡があった。
 東国原英夫・前宮崎県知事(60)のツイッターによると、「TVタックル」の収録を終えたたけしは訃報に「全ての動きが止まっていた」という。

【急性心不全】大杉さんの命を突然奪った急性心不全とは、心臓のポンプ機能が急激に衰えることで、全身の臓器に血液が回らなくなる怖い病気だ。心臓の持病を抱える人が陥るケースが多いが、健康な人でも風邪などの感染症や、薬の投与、ストレスなどで発症することがある。

【プロフィル】おおすぎ・れん 1951年9月27日生まれ。徳島県出身。74年に劇団「転形劇場」に入団し、80年にピンク映画「緊縛いけにえ」で銀幕デビューを果たす。90年代以降には北野武監督の作品群やSABU監督の「ポストマン・ブルース」、崔洋一監督の「犬、走る DOG RACE」のほか、近年では「シン・ゴジラ」の首相役などで存在感を発揮。迫力のあるやくざ役から気弱な父親役まで、幅広い役を巧みに演じた。北野監督の「HANA―BI」(98年)で日本アカデミー賞・優秀助演男優賞。テレビのバラエティー番組でも活躍。「ぐるぐるナインティナイン」や散歩番組「大杉漣の漣ぽっ」にも出演し、そのおおらかな人柄がお茶の間でも親しまれた。

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