お笑いコンビ「笑い飯」の哲夫(47)が8日放送の「変わる報道番組#アベプラ」(ABEMA)で、山上徹也容疑者に銃撃され死去した安倍晋三元首相について熱弁を振るい、大きな話題になった。

 番組では、広島での平和記念式典の際に行われたデモを取り上げた。中には安倍氏に対する批判もあったが、哲夫は「安倍さんが亡くなられて四十九日もたってない。そんな中で、そうやって批判するのは日本人の所業と思えない」と語った。

 続く「宗教2世」のテーマでは、芸能界屈指の仏教マニアとして宗教に精通していることもあって「問題になっているのは宗教という言葉でごっちゃにしてはいけなくて新興宗教ですよね。新興宗教の危ないところ。霊感商法やカルト」と指摘。安倍氏は被害者、山上容疑者は殺人者であり、こうした犯罪が2度と起こってはならないことを報道すべきと訴えた。

 さらに「容疑者の家庭環境が理由になってはいけない。宗教2世でも家が困難を抱えていながら、しっかり成長して生活している人はたくさんいる。その上で、どうして殺害をしたのか。教育でそういう人間をつくっていかないようにするのが大事だというのを押さえて宗教の問題を議論したい」と主張。そして「これだけは言わしてほしい。犯罪者を英雄視するような方向には絶対に持っていってはいけない」と強調した。

 この発言に吉本興業がピリついているという。

 実は哲夫は先月に行われた新著「ブッダの一生―カネも妻も子も手放して仏教をつくったスゴい人―」の発売記念トークイベントでも、同様の趣旨の発言をしていた。ところが、所属する吉本興業関係者が「安倍元首相に関する質問はすべてカットしてほしい」と報道陣に要請したということがあった。

 ある関係者は「吉本が積極参加する2025年の大阪・関西万博成功は、まさに社運を賭けたビッグプロジェクト。絶対に成功させなければならない。自民・維新を中心に政界にパイプを作り、亡くなった安倍さんも19年に、なんばグランド花月に出演して『万博をみんなで成功させたい』と言っていた。政界とのつながりを深めているからこそ、政治に関する発言には特に神経をとがらせている」と明かす。

 事務所的にはNGでも、宗教に造詣の深い哲夫としては黙ってはいられなかったのだろう。