“女芸人マニア”として知られているお笑いコンビ「馬鹿よ貴方は」の新道竜巳が、これから“馬鹿売れ”しそうな女芸人をピックアップ。今回は、大学のお笑いサークルで活動している、まだ19歳の現役女子大生を取り上げます。

【プロフィル】
 芸名‥にらせかんな
 本名‥畠山栞那
 所属‥無所属(アマチュア)
 生年月日‥2002年9月25日
 初舞台‥2022年1月13日
 大学‥筑波大2年生
 サークル‥つくばお笑い集団DONPAPA
 目標‥大学卒業までに単独ライブを開く

 お笑いに腹話術を融合させています。初めて見たときは、まだお笑いを始めたばかりなのかな、としか思わなかったが、なんとなく最後まで見たら…面白い。ふわふわした演技力とは対照的に腹話術の技術が高く、歌がうまく、ネタそのものが面白い。

 彼女がすごいのは、芸歴も知名度もほとんどないのに、ネタはつかみもないまま進行していく。それで着実に尻上がりに面白くなっていき、お客さんを引き込んで笑いを起こしていくんです。ネタを最後まで見てしまう理由は、全くあせらず淡々と、最後まで自分の世界を披露しているからかもしれません。それに思った以上に腹話術がうまく、グイッと引き込まれて最後の歌のくだりで笑わされてしまいます。まだ大学生で情報がほとんどないので、本人にいろいろと聞いてみました。

 ――まず腹話術を始めたきっかけは?

「高校生の時、ユーチューブで見たアメリカのオーディション番組で、小学生くらいの女の子が腹話術で歌っているのを見て感動したのがきっかけです。高校では合唱部に入っていて、いつも『口を大きく開けて歌いなさい』と言われていたので、口を動かさなくてもこんなに大きくきれいな声で歌えるんだ、と衝撃を受けました。外国のユーチューブをいろいろ見て、コロナで高校が休校になった間に練習して習得しました。受験勉強の期間や大学に入った直後は腹話術から少し遠ざかっていたのですが、やっぱり腹話術をやりたいと思い、ステージを求めて去年の12月にお笑いサークルに入りました」

 ――将来はプロとして活動する?

「アマチュアなのをいいことに、自分が見てほしいことばかり披露しているので、プロになりたいかは正直まだ分かりません。いま大学2年生なのでじっくり考えようと思います。ただ一般の人にも知られている腹話術師は、日本ではいっこく堂さんくらいしかいないので、いつか取って代わりたいという野望はあります。お笑いじゃなくてもいいので、テレビには出てみたいです」

 ――好きな芸人は?

「キュウが大好きです! どこでもいそうな感じの見た目の人が、ちょっと時空がゆがんだようなネタをするのがたまらないです。あと、ぴろさんのおっとりした声がすごくタイプです」

 ――最近、力を入れている活動は?

「『ものごころチューン』というポッドキャスト、stand.fmもやっています! 忙しくてなかなか更新できていませんが、番組を作るのが一番楽しいです。モノがしゃべるという設定で、モノにインタビューをする番組です。過去にはハンバーガーのピクルスとか、ドーナツの穴と輪とかにインタビューしています。音声だけど腹話術も披露しています。ぜひ聞いてほしいです!」

 にらせかんなさんのネタをユーチューブなどで見てみると、すべて演出、構成が決まっています。既に自分のネタは出来上がっており、やりたい表現がどの設定が収まりがいいかを模索している状態。芸風が固まっているので、賞レースでも十分戦える。このレベルだと「THE W」では、少なくとも準決勝には行くと思います。

 最後に賞レースなどに出られる予定はあるのか、聞いたところ、「まだ大学のお笑い以外の大会に出たことがありませんが、出てみたいです。『THE W』はスケジュールの問題があるので、今ちょうど出るかどうか検討しているところです」。

 今後、どのような活躍を見せてくれるか、楽しみにしています。

 ☆しんどう・たつみ 1977年4月15日生まれ、千葉県出身、本名・濱島英治郎。平井“ファラオ”光と組む「馬鹿よ貴方は」として「THE MANZAI」「M―1グランプリ」で決勝進出を果たした実力派。緻密なネタ作りに定評がある一方、女芸人ナンバーワン決定戦「THE W」では、予選会場に足しげく通い、ほとんどの出場者のネタを見るほどの“女芸人マニア”。