謎の政党「ごぼうの党」がついに始動した。23日、代表の奥野卓志氏が東京都庁の前で演説を行い、初めて肉声で訴えた。同党は突如SNSで俳優の山田孝之、山下智久らが言及し、知る人ぞ知る政党と話題になっていた。同時にガーシーこと東谷義和氏との関連を指摘する報道が相次ぐなど謎めいていたのも事実だ。奥野氏を直撃すると…。

「政治を花火のようにしたい。花火はお金がある人もない人も、怒っている人も悲しんでいる人も笑顔になれる。みんなが笑顔になれることを目指して政治をしたい」

 赤いお面を付けた奥野氏は穏やかな口調で政界に進出する思いを話し始めた。両脇にはかつてマットを盛り上げたボブ・サップとピーター・アーツが陣取った。

 上半身裸のサップは「フハハハハ、彼は政治とエンターテインメントに笑顔をもたらしてくれる。みなさんも支えてほしい」と語り、アーツも「世界中がコロナで大変な思いをした。スポーツは多くの人に笑顔をもたらしてくれる」と、ともにエンタメ業界へのサポートを期待していた。

 奥野氏は2人とは友人関係にあるといい、「アスリートはみんなを感動させ笑顔にさせてくれる人。この人たちと一緒にやらないと新しいことはできないと思った」と説明した。

 このように奥野氏にはエンタメ業界の人脈がある。ごぼうの党がSNSで騒がれるようになったのもタレントたちがごぼうの画像をアップし、同党のPRを行ったからだ。

 例えば、山田はインスタグラムで「みんなでごぼう抜いて食べましょうかね」と同党を紹介。ほかに山Pこと山下、「ONE OK ROCK」のTaka、宮迫博之らも反応。人気ユーチューバーのヒカルも関心を示していた。さらに、格闘家の朝倉未来が同党スポーツアドバイザーに就任。著名人がごぼうのもとに集まっているのだ。応援演説に著名人は来るのか。「シークレットゲストにすることに意味があるから。7月9日まで短いですが、みんなで盛り上げていきたい」と含みを持たせた。

 一方で、山田や山下、そしてTakaらはガーシー人脈として取り沙汰されたこともある。ガーシーといえば芸能界の裏側をユーチューブで明かす〝暴露系〟として名をはせている。同党とガーシーの関連性を疑う声もあったが、ガーシーは参院選でNHK党から比例代表で出馬している。

 実際のところはどうなのか? 奥野氏に直接たずねると「ガーシーさん? なんかこう一部分だけを切り取らないでね」と念押しした上で話し始めた。

「僕は同じ釜の飯を食った仲間のことを裏切ったりとか、悪く言うのはダメなことだと思う。だって生きていく上で一番大切なのは仲間である友達だから。やっぱり何か嫌なことがあったんだと思うんですよ。でも、同じ釜の飯を食った仲間のことを売るっていう行為は、子供たちがマネしたらダメでしょ。それはダメだと思う」

 こうガーシーの〝罪〟を指摘したのだった。しかし、奥野氏の話はここで終わらない。〝功〟についても言及した。

「若い女の子が自分の体をささげるって一番大事なことじゃないですか。それをただイケメンだから、ただ人気者だからってことでついて行ってね、一晩共にして、本人が傷ついたと。それが明らかになっていますけど、これが彼の言うように一つの抑止力というか、有名人の方も今回のガーシーの一件でものすごく気を付けるようになるんじゃないですか。これから軽はずみなことはできないと」

 政治の世界で核の抑止力の議論はあるが、まさか〝ガーシーの抑止力〟まであるとは驚きだ。これまでガーシー砲のターゲットになった芸能人は複数いるが、今後は誰かを傷つけるような言動や遊び方は控えるのではないかと予測する。

「物事にはいい側面と悪い側面があって、これはいい側面なのかな。今後、イケメンだから、有名人だからってついて行くことも激減しますよ」

 ちなみに奥野氏はガーシーと会ったことはないという。参院選では同じ比例代表だが、「僕は誰とも戦わない。みんなで日本が元気になり、笑顔が増えるように考えていきましょうってことをやりたい」と意気込んだ。

 同党は文化、エンターテインメント、アスリート、食の安全を守るという主張を掲げている。今後も著名人が応援に駆けつけることもあり得るというが、どこまで有権者に浸透するかがカギとなりそうだ。