認知症と介護を題材にした社会派舞台「生きる」の20回目の公演、2022年改訂版が8月11日に東京都豊島区の南大塚ホールで上演される。特別サポーターとして元おニャン子クラブの新田恵利が上演前に登壇する。

 1980年代に人気バラエティー番組「オレたちひょうきん族」(フジテレビ系)で「懺悔の神様」を演じたブッチー武者が原案・主演。

 生活苦から親子心中を図って認知症患者の母親を殺害した「京都伏見介護殺人事件」(2006年)の判決に感銘を受けた武者がプロデューサーとして、2014年に劇団ZANGEを立ち上げ、ライフワークとして、公演を始めた。脚本と演出は「コント山口君と竹田君」の山口弘和。

 山口は「コントとあまりにもかけ離れた作品かもしれないけど、脚本を書くにあたって、重いだけじゃいけない。やっぱり皆に楽しんでもらいながら、現実を知ってもらいたいと思いました。出演者も介護の経験があったり、今、介護している人もいます。役者というよりも現実問題に身を置いている思いも詰まった舞台になっています。芸人だけが集まると全然違った色になっちゃうから、バラエティーに富んだ出演者の顔触れになっています」と語る。

 公演を重ねて、配役変更の時期を迎えた際に相方の竹田高利を大家役に誘った。

「竹田みたいなキャラクターの出演者がいると、見ているお客さんが楽しみながらも、介護に興味を持ってもらうのに良いんじゃないないかな」(山口)

 竹田は「僕の母も認知症で特養に入るまで大変でした。父に先立たれた不安から発作的に恐怖心に襲われて110番通報をした母。しかるわけにもいかなくてつらかった。そんな経験も生きるかもしれません。コントとは違う演じ方も楽しみで、勉強になっています」と話す。

 改訂版では、介護センター長役に奥野裕介、介護士役に元「仮面女子」の雪乃しほりが起用された。

 山口は「介護士の現状は非常に厳しいわけですよ。仕事はきつい割に、お金はもらえない。良い人材だけでなく、事件を起こす人もいる。現状を踏まえた上で、介護問題を押し付けがましいメッセージではなく、分かりやすく考えていただくきっかけになればと思います」と話している。