俳優の香川照之が27日、金曜MCを務めるTBS系「THE TIME,」に出演し、自身のカンヌ国際映画祭体験を語った。

 5月恒例のカンヌ国際映画祭は28日夕(日本時間29日)、最高賞パルムドールなどの発表と授賞式が行われて閉幕する。香川は2000年、日中戦争下の中国で捕らわれの日本兵を演じた中国映画「鬼が来た!」(日本公開2002年)がコンペティション部門に出品され、カンヌの地を踏んだ当時を振り返った。

「心躍らせてカンヌの空港に降り立った私を出迎えてくれるはずの映画祭スタッフが、どこにも見当たりません」。スタッフは出迎える関係者の名が書かれたボードなどを掲げ、相手と会えるとその場を去っていく。取り残された香川は「途方に暮れました」。やがて、ほとんど人がいなくなったロビーで、はるか奥にプラカードを持ったフランス人がいることに気づいた。ところが、名前の表記が妙だった。

「私の名前の子音の部分はほぼ合っているんですけれど、母音の部分はほとんど間違っている、似ても似つかない名前なんですが、私のプラカードだったんです。うろ覚えなんですけれど、たとえばこんな感じでした」

 香川は「TERAYOKE KEGOWA」の文字が記されたボードを掲げ、「私はフランス。カンヌにおいてはテラヨケ・ケゴワという名前なんですね。海外でも名前を覚えてもらう俳優になる道は遠いなと」実感したことを明かした。

 対照的なのが、「ベイビー・ブローカー」で18年の「万引き家族」以来2度目のパルムドールを狙う是枝裕和監督。アルファベットでは「KOREEDA」となるが、それでは読みが「コリーダ」となってしまう。そのため「KORE―EDA」とする表記で統一されているという。

 香川が出た「鬼が来た!」は、パルムドールに次ぐグランプリ(審査員賞)に選出。迫る今年の発表に、香川は「すでに第一人者となって、名前を間違えられることもない是枝監督の受賞を心から期待しています」とエールを送った。