【直撃!エモPeople】“元祖アイドルアナウンサー”が還暦の3大目標をすべて達成し、精力的に活動している。1980年代「オレたちひょうきん族」(フジテレビ系)の“2代目ひょうきんアナ”としてアイドル並みの人気を誇った元同局アナウンサー・寺田理恵子(60)のエッセー集「60代、ひとりで前向きに生きる」(発売中)が話題だ。セクハラ連発の局アナ時代から、今最も情熱を注ぐ朗読活動まで、その半生を秘話とともに本紙だけに明かした。

    周囲を和ませる笑顔と、ほっそり若々しいスタイルは、88年「8月8日はフジテレビの日」のキャンペーン時代そのまま。

「ひょうきん族」世代にはキュートな寺田が野獣のような芸人の中に放り込まれ、困惑した印象が残っている。

「ひょうきんベストテン」で司会を務めた際、西川のりおからの“洗礼”は強烈だった。海パン一丁ののりおが寺田に後ろを向かせた瞬間、画面がブルーバックになり「見るに堪えない場面なのでカットさせていただきます」とテロップ。実際は背後から腰を振られていたが、寺田本人は何が起きたかわからなかったという。

「唯一覚えているのはスカートの裾が揺れていたことだけ。今ではとても放送できないですよね」

 悲鳴が聞こえ、画面が復活すると、ショックでしゃがみこんで泣き出す寺田の姿。コンプライアンス、セクハラなど概念すらなかった時代だ。

「プールサイドから水着姿で中継することもありました。エアロビクスが流行していたころはレオタード姿で体験し、オンエアを見たら、カメラアングルが胸を狙ったり、下からあおったり、エッチすぎて泣きました。それに露木茂さんが怒って担当ディレクターにクレームを入れたり、アナウンス室にも守られていた部分もあったと思います」

 86年には「ときめきLonely Night」で歌手デビューしたが「鼻がデカい」「肌が黒いから白い服は着るな」など、いまやご法度の容姿イジリもあった。

「すべて一社員、局アナとしての仕事。『勘違いするな』と厳しく教育もされて鍛えられましたね」

 印象は強いが、実際は「ひょうきんアナ」は1年半、テレビマンとの最初の結婚で入社5年で寿退社した。長女ゆりえ(現シンガー・ソングライター)出産後、わずか5か月で「ビッグモーニング」(TBS系)のMCに起用された。その後も古巣のフジでワイドショーの司会、テレビ朝日のニュース番組にも出演した。

「20、30代は子育てと仕事、離婚してシングルマザーも経験しましたが、バラ色の時代でした」

 39歳で再婚すると夫の意向で専業主婦に。次女にも恵まれたが、夫の仕事関連で報道陣が自宅に大挙した時期もあった。

「つらい時期でしたが、子供を守ることで精一杯。一方で自分もワイドショーの司会をしていたので、取材する側の気持ちもわかる。葛藤はありました。乗り越えられたのは“守るものがある人は強い”ということですね」
 家族で嵐を乗り越えたが、2012年、夫が急死。再びどん底に突き落とされた。

「3人で前に進まなくちゃと、泣いたり疲れたりするヒマもなかった。でも、体は正直で不眠症や認知機能低下、栄養失調になりました」

 這い上がれたのはブランクを埋めるべく始めた音読。体調は改善し、そのメソッドをつづった本「『毎日音読』で人生を変える 活力が出る・若くなる・美しくなる」は昨年の出版以来、増刷4刷のヒットとなった。

 今回のエッセー集「60代――」はこれに続く“寺田式生き方エッセンス本”の第2弾。夫の急死、自身の更年期障害、認知症の実母の見送りなど、苦難と波乱の50代をどう乗り越えたかなどが描かれる。

「固有名詞が思い出せなくなったら連想ゲームだと思って楽しめばいい。転ぶことが多くなったら毎日が障害物競走だと思って生活すればいい」と楽しく“with老化”を提唱する。

 18年から主宰する朗読教室「心とからだ磨きの朗読」は月に10クラス以上をこなす。元静岡第一テレビの松坂貴久子、元静岡エフエム放送の中村悦子とともに結成した3人組朗読ユニット「KIREI」では今月、寺田総合プロデュース、長女ゆりえの音楽で初公演を行い、盛況となった。

 ボランティア活動では昨年「高齢者のサロン」を立ち上げた。音読本出版、KIREIでの公演、サロン設立は寺田が掲げた「還暦の3大目標」だったが、すべて達成した。

「次の公演の企画案を考えるのが楽しくて、生きがいになってますね。3つの活動は“継続は力なり”。続けていきます」

 外見だけでなく、その行動力は若々しい。

 ☆てらだ・りえこ 1961年7月15日生まれ。東京・世田谷区出身。聖心女子大卒業後の84年、フジテレビ入社。85年「オレたちひょうきん族」2代目ひょうきんアナ就任。86年、歌手デビュー。89年、共同テレビディレクターと結婚、退社、フリーに。長女出産。98年、離婚。90年「ビッグモーニング」司会、その後、フジでは「ビッグトゥデイ」などの司会、「スーパーJチャンネル」(テレビ朝日系)フィールドキャスター。2000年、電通社員と再婚、引退し専業主婦。01年次女出産。12年、夫と死別。09年、武蔵野大入学、認定心理士、心理カウンセラー取得。14年、活動再開。18年、朗読教室「心とからだ磨きの朗読」主宰。21年「『毎日音読』で人生を変える」出版。22年「60代、ひとりで前向きに生きる」出版、3人組朗読ユニット「KIREI」初公演。