国際政治学者で山猫総合研究所代表の三浦瑠麗氏が17日、「めざまし8」(フジテレビ系)に出演し、スウェーデンとフィンランドのNATO(北大西洋条約機構)加盟申請に対し、加盟国のトルコが反対を表明したことに言及した。

 スウェーデンとフィンランドはこれまで軍事的中立を守ってきたが、ロシアのウクライナ侵攻を受け、方針転換。今週中にも加盟申請し、来月開催されるNATO首脳会議で全加盟国の承認を得られれば、NATOの一員になる。

 だが、ロイター通信の報道では、NATOの加盟国であるトルコのエルドアン大統領が16日、2か国の加盟を支持しないと表明。「スウェーデンはテロリスト組織の温床。同国議会にもテロリストが潜入している」などと非難した。2019年のトルコのシリア侵攻の際、2か国がトルコへの武器輸出を禁止したことから同大統領は「トルコに対する制裁措置を導入した国のNATO加盟にも反対する」と表明した。

 番組MCの俳優・谷原章介から「NATO側も一枚岩ではありませんね」と話を向けられた三浦氏は「もともとそうだったんですが、トルコというのは我々が考えるような西側のコアの価値観とか、シリアの内戦に関しても同じ側に立ってはいない。国際情勢は複雑なもので、それを飲み込むことができなければ平和というものはつくれない。その観点からみると、トルコの主張はちゃんと聞いておかなくてはいけない」と指摘。

 そのうえで「トルコに対して今まで行われてきたダブルスタンダードというのは、EU(欧州連合)加盟を阻むということも含め、非常に不正義だといわれても仕方のないこと。一方でトルコがこれから西洋化していって完全に西側っぽくなるかというとならない。じゃ、トルコをやめてスウェーデン、フィンランドを入れてコアな西側の価値観だけで固まるのかといったらそれは私は違うと思う。実質上、スウェーデンとフィンランドはかなりNATOに近い活動をしてきてますから、何らかの中間的な解決策を探れればいいなと思う」とした。

 谷原が「宗教的な価値観の違いはあるとは思うんですけど、着地できると思いますか」と問うと、三浦氏は「全加盟国が賛成しなければいけないし、NATOの中にこういった分断があるし、無視してはいけない」と分析した。