沖縄を舞台にしたNHK連続テレビ小説「ちむどんどん」で12日、ボクシングの場面に地元出身の元世界王者・具志堅用高氏が出演した。

 この日の放送では、黒島結菜演じるヒロインの兄賢秀(竜星涼)がいつの間にか、東京でプロボクサーとしてデビューして家族を驚かせた。けんかとボクシングに明け暮れた揚げ句、高校中退。定職に就かないばかりか暴力・金銭トラブルが相次ぐ〝問題児〟だった兄が、60万円を送金して家族を助けた。リングでのシーンで、賢秀に抱きつくジム会長を連続防衛13回のレジェンド具志堅氏が演じた。

 時代設定は沖縄返還直前の1972年2月頃。具志堅氏は76年10月10日、WBA世界ライトフライ(当時ジュニアフライ)級王座をデビュー9戦目、21歳の若さで獲得。前日の9日にはWBC世界スーパーバンタム(当時ジュニアフェザー)級王座をロイヤル小林が奪取して、一時的な日本人王者不在にピリオド。具志堅勝利で連夜の快挙は列島を興奮させた。

 賢秀は劇中、64年の時点で中学生だった。72年は20~23歳。55年生まれの具志堅氏は72年当時17歳で、賢秀とは歳が離れる。沖縄出身の数多いが、賢秀に近い年齢の沖縄出身ボクサーは、元世界王者の上原康恒氏とその弟・フリッパー上原氏だ。

 沖縄返還の72年にデビューした康恒氏は翌73年、メキシコの強豪リカルド・アルレドンドをノンタイトル戦で破って世界を驚かせる。80年にWBA世界スーパーフェザー級王座を獲得し、防衛も果たした。フリッパー氏も日本フェザー級王者となった後に世界戦に臨んだが、戴冠はならなかった。

 康恒氏は50年(49年説も)、フリッパー氏は52年生まれで、72年にはそれぞれ22、20歳とあって、賢秀に近い。劇中、「沖縄から期待の新星 比嘉賢秀、衝撃のKOデビュー」と報じられた賢秀は…。