人気ジェンダーレスバンド「女王蜂」のボーカル・アヴちゃん(生年非公表)と個性派俳優・森山未來(37)が都内で6日、声と歌でW主演したアニメ映画「犬王」(28日公開)の先行上映会に登場した。

 室町時代の能楽師・犬王(アヴちゃん)と盲目の琵琶法師・友魚(ともな=森山)が、舞と音楽で交わす友情物語。2人は2011年の映画「モテキ」で、森山が主演、アヴちゃんは女王蜂として主題歌を任され〝共演〟している。

 森山がアヴちゃんを知ったのは、10年に主演したドラマ版「モテキ」のころ。撮影現場で脚本・演出家の大根仁氏と、のちの12年に森山が主演するミュージカル「ヘドウィグ・アンド・アングリーインチ」の打ち合わせしていたときだ。同作は性別適合手術に失敗したロック歌手ヘドウィグの物語で、大根氏が「すごいの出てきたよ」とスマホで見せてくれたのが、女王蜂のユーチューブ動画だったという。

 森山は「アヴちゃんを見たときに、それまで構想を練ってたヘドウィグのイメージというのが、全部ガラガラガラと崩れ去った。(中略)〝このままではヘドウィグ・アンド・アングリーインチなんてできないぞ〟っていう、とても衝撃があったっていうのが、最初のアヴちゃんとの出会い」と回想。ちなみに大根氏は映画版「モテキ」でも監督を務めた。

 アヴちゃんにとっては「アタシが上京してきて初めて俳優という職業に付いてる方とちゃんとお話ができたのが未來氏」だそう。

「当時は、簡単な言葉で言うと、10年前だしギラギラしていた? とてもギラギラしていて、なんだろう。ソックリそのまま返されるかもしれないけど、破滅的であった。というところも見せてもらったときに〝すごい広大な砂漠でギブアップすればいいのに~〟っていうふうに勝手に思ったんですけど」

 森山との出会いをこう振り返るアヴちゃんも19年、女性ながら男装する〝ヘドウィグの夫役〟で同ミュージカルに出演している。この10年を振り返り「各々の道を、誰も行かない道を行って、ここでクロスできた」と、森山との再共演に感慨深げだった。