ベテラン俳優の渡辺裕之さんが3日、神奈川県横浜市の自宅で急逝していたことが5日分かった。享年66。

 肉体派俳優の元祖として若いころから知られ、年を重ねても鍛えた体と精悍なルックスは変わらず。まさに「イケオジ」という言葉がピッタリだ。そんな渡辺さんの意外すぎるエピソードが続々と明らかに。

 20年ほど前、映画の仕事で一緒になった撮影スタッフが振り返る。

「ロケバスで弁当を食べてたら、渡辺さんの方から声をかけてもらった。そのとき渡辺さんが愛飲していたのが昆布茶で、『これを飲むと調子がいいよ』と言っていた。全く偉そうなところのない紳士で、見た目も羨ましいぐらいカッコよかった。ただ、格闘技経験がある私に、『若い格闘家の方から見て、僕の見た目とか動きはどう見えるのかな』と聞いてきたのはちょっと意外だった」

 同スタッフがあとでプロデューサーにそれを話すと、「渡辺さんは自分の見え方をすごく気にされる、ナイーブな方」だと教えられたそう。ちなみに、撮影の打ち上げに顔を出した渡辺さんは、酒ではなく昆布茶を飲んでいたという。

「渡辺さんの方が立派な体形を維持しているのに、体作りのマニアックな話ばかり聞かれた。私が使ってるプロテインの飲み方や種類、より濃厚に効くアミノ酸のサプリを教えたら、感心していた。トレーニングしてすぐBCAA(必須アミノ酸)を、10分後にプロテインを飲むといいと伝えたら、『へぇ~、僕もそうしようかな』と。靴下も、健康に良いと言われる五本指のを履いてたりと徹底していた。大きな鏡の前で、全身を細かいところまで入念にチェックしているのも見掛けた」と同スタッフ。

 年齢を重ねても、健康維持のためジョギングやウオーキングは欠かさなかったという。その際には、大きなゴミ袋をいっぱいにするほどのゴミ拾いボランティアもして話題に。映画関係者によれば「昔からロケ地でも、掃除を手伝ったり、ゴミを見掛けると拾う方だった」といい、内にも外にも独特な美意識をもつ人だったようだ。