【ニュースシネマパラダイス】どうも! 有村昆です。ジャガー横田さんと、医師の木下博勝さんの息子さんが、10校目で高校受験に合格されたというニュースが話題になりました。いや~本当に良かったですね。おめでとうございます。というわけで本日は、お受験映画をチョイスしました。有村架純さん主演の「映画 ビリギャル」(2015年公開)です。

 これは坪田信貴氏のノンフィクション「学年ビリのギャルが1年で偏差値を40上げて慶應大学に現役合格した話」が原作。

 主人公のさやかは、中学から高校にエスカレーター式で進学した後、素行不良のギャルになってしまいます。派手なメークに金髪ミニスカ、夜遊びにふける毎日です。そんな娘を心配した母親が「坪田塾」に入れるんですね。すると、この塾の坪田先生がすごい。イケイケのギャルが来たら普通は面食らうと思うんですが、「そのファッションかっこいいな。僕にも教えてよ」と言い放つんです。これにはさやかの方が面食らってしまいます。

 高校2年になるさやかの学力が、小学4年レベルということが判明しても坪田先生は動じません。目標は1年間で慶応義塾大学現役合格です。さすがに、誰もが不可能と思いますよね。ところが坪田先生は「できないところをできるようにすればいいんだよ」とポジティブなんですよ。しかも、この先生は雑談中にギャルが好むファッションブランドの話題を挟んでくる。実は陰でギャルファッションを猛勉強しているんです。受験と直接関係がなくても、それが生徒のモチベーションを高めることを知っているわけです。さやかが自暴自棄になっても「無理を成し遂げたら自信になる」と励まします。

 そう、坪田先生は一貫して生徒に寄り添い、肯定してあげるんですね。とかく大人は上から押し付けるだけじゃないですか。だから僕も目からウロコでした。坪田先生いわく「ダメな生徒はいない。ダメな指導者がいるだけだ」。

 実際にさやかは目標を成し遂げますが、いや~いい映画でした。僕は泣いてしまいました(笑い)。劇中のさやかこと、小林さやかさんは、現在講演活動やユーチューブなど多方面でご活躍されているようです。坪田塾も大人気。この作品は受験がテーマの映画ですが、子供との向き合い方という意味でも大変参考になる一本と言えます。

 ☆ありむら・こん 1976年7月2日生まれ。マレーシア出身。玉川大学文学部芸術学科卒業。ローカル局のラジオDJからキャリアをスタートさせ、その後映画コメンテーターとしてテレビ番組やイベントに引っ張りだこに。最新作からB級映画まで年間500本の作品を鑑賞。ユーチューブチャンネル「有村昆のシネマラボ」で紹介している。