27日(日本時間28日)に行われた「第94回米アカデミー賞授賞式」で、米俳優ウィル・スミス(53)がプレゼンターの米コメディアン、クリス・ロック(57)の発言に激高し、壇上に上がってクリスの顔面に痛烈ビンタを食らわし、会場が凍り付くという前代未聞の〝放送事故〟が起きた。

 事故が起きたのは長編ドキュメンタリー賞のプレゼンターを務めたクリスが、ウィルと同伴していた妻ジェイダ・ピンケット・スミス(50)のボーズヘアを映画「G・I・ジェーン」になじってジョークを飛ばしたことだった。これを妻への侮辱として激怒したウィルは暴行に及んだというわけだ。

 席に戻ったウィルは怒りを抑えられず、壇上のクリスに向かって、「お前の薄汚い口からオレの妻の名前を出すな!」と放送禁止用語を使って大声で叫んだ。出席者らはウィルの一連の行動が演出の一部なのか分からないまま、会場はしばらく静まり返った。

 その直後、ハリウッド映画の名作「ゴッドファーザー」の公開50周年を記念する特別賞のプレゼンターとして壇上に登場した俳優で音楽プロデューサー、ショーン・コムズ(52)は「ウィルとクリス、みんな家族みたいに問題を解決しようよ。今は愛が必要なんだ」と呼びかけ、張り詰めた空気を和ませた。

 ウィルはその後、テニス選手ビーナス・ウィリアムズとセリーナ・ウィリアムズの父でありコーチの半生を描いた伝記映画「ドリームプラン」で初オスカーとなる主演男優賞を受賞。壇上でオスカー像を手にし、涙ながらに暴行を謝罪しながらも、関係者に感謝を示した。