「芸人にとって、M―1のMは漫才とは限らない!」。かつて吉本興業に所属していた元お笑い芸人・井上虫歯二本(43)が料理界のM―1「ミシュラン一つ星」を目指し、タイで奮闘している。

 井上は吉本の養成所・NSC東京校の14期生で、同期にEXITのりんたろー。や相席スタートの山添寛らがいる。芸人時代は「クリーーンアップ」というトリオで活動したほか、「パンサー尾形軍団」の一員でもあった。「井上虫歯二本という芸名も尾形さんが付けてくれました。実際には、虫歯は1本もないんですが」

 ただ芸人を続けながらも、徐々に飲食業がメインに。「最初は東京・阿佐ヶ谷の居酒屋で働いていて、それからラーメン屋もオープンしたり。その後、『タイでも店をやってみないか』という話があって、チャンスと思って2019年にバンコクで日本食の店をオープン。その後、ラーメン屋もやりました」

 同店はタイで人気ナンバーワンのラーメン店になったというが、そこには芸人の経験が非常に役立った。「タイにもうまいラーメン屋はたくさんあるけど、それをどう伝えるかが大事。そこは芸人の経験が役に立ちました。例えば日本地図を指さし、『ウチのラーメン、しょうゆはここ、塩はここ、昆布は北海道』と説明する。そうするとすごく喜んでくれる」

 こういったアイデアはコロナ禍になってから、ますます必要になった。「タイは親日家が多くて、みんな日本に行きたいけど、コロナで行けなくなった。だから僕の店で、日本を体験してほしいと思ってます」

 井上は今月12日に新しいラーメン店をオープンした。店名は「あえてナシにしました。口コミで広がってくれれば。ウワサは広がるので。すでに問い合わせはたくさん来ています」。

 このために昨年5月に日本に帰り、あらためて修業。最初は福岡の店に住み込みで働き、昨年12月から1月末までは、東京・神田のラーメン店「三馬路」で修業した。

「ダシの取り方を一から学びました。店主の藤祥昭さんには『レシピ泥棒』と言われました(笑い)」

 目標は「ミシュラン一つ星」の“M―1”獲得。「NSC出身でM―1グランプリを取った芸人はいるけど、ミシュランは聞いたことがないので」
 夢は実現するか?