5月に行われる欧州最大の音楽コンテスト「ユーロビジョン・ソング・コンテスト」の主催者は、ロシアがウクライナに軍事進攻したことを受け、ロシアからの参加を認めないと25日発表した。

 同コンテストは、ヨーロッパと北アフリカの放送局からなる組織「欧州放送連合(EBU=本部・スイス)」が1956年の第1回以来、毎年開催する伝統の音楽イベント。各国を代表するアーティストがオリジナル楽曲を生放送で披露し、参加国がほかの国に投票し、優勝者を決める。

 英紙ガーディアンによると、EBUは24日にロシアによるウクライナの攻撃が始まった当初、ロシアの参加を認めるとしていたが、批判が集中したことで一転、認めないことを決めた。

 EBUはこの決定について、「ウクライナで起きている前例のない危機を鑑み、ロシアの参加を認めることは今年のコンテストの評価をおとしめることになると判断した」との声明を発表した。

 英国のナディーン・ドリーズ文化相はEBUの決定を歓迎し、「ユーロビジョンは国と国との間の自由、団結、敬意の象徴であり、世界中で数千万人の人たちが視聴する。ユーロビジョンが行動に移し、ロシアを拒絶したことはよかった」とツイートした。

 昨年のイタリアのロックバンド、マネスキンが優勝したため、今年のコンテストはイタリア・トリノで行われる。これまでの優勝者で最も成功したのは74年大会で「恋のウォータールー」を歌ったABBAや、88年大会で「私をおいて旅立たないで」を披露したセリーヌ・ディオンらがいる。

 長いユーロビジョンの歴史の中で2020年のみ、コロナ禍により中止された。