専門家が警鐘鳴らすオミクロン株の感染力「遅い水際対策」「悠長な近隣国」を憂慮

2021年11月30日 06時15分

防災・危機管理アドバイザーの古本尚樹医学博士(東スポWeb)
防災・危機管理アドバイザーの古本尚樹医学博士(東スポWeb)

 新型コロナウイルスの新たな変異株・オミクロン株への警戒感が高まっている。最初に発見された南アフリカでは数日でオミクロン株の感染者が急増し、あっという間に世界中に拡散。日本でも南アの隣国ナミビアからの帰国者が陽性となり、現在、ウイルスのゲノム解析を進めている状況だ。専門家は「たった1日の水際対策の遅れが命取りとなる」と警鐘を鳴らした。

 今夏の第5波を乗り越えて、日本では少しずつ以前の生活を取り戻しつつあるなか、脅威なのは南アフリカで発見された新たな変異株・オミクロン株だ。

 まだ謎が多いとされるオミクロン株だが、初期の分析の結果、人間の細胞と結合して感染を引き起こすウイルス表面の突起部分だけで32か所の変異を確認。南アフリカでは数日のうちに感染者が急増し、デルタ株の80%を置き換える感染力の強さを見せている。

 日本政府は今月8日から外国人ビジネス関係者や留学生、技能実習生の入国を条件付きで解禁したが、28日から南アフリカなど9か国からの入国者について、指定機関で10日間の待機を求める措置を導入。しかし「ユルユル対応だ」との批判を受けると、29日になって岸田文雄首相が「原則として全世界からの外国人入国停止」を発表した。

 だが医学博士で防災・危機管理アドバイザーの古本尚樹氏は「相変わらず水際対策が遅い」として、こう指摘する。

「国内の第6波回避に向けて黄色信号がともった。南アがデルタ株からオミクロン株に置き換わった状況を見ても、感染力が極めて強いのは間違いない。こうした状況下ではたった1日の水際対策の遅れが命取りとなるだけに、北米、欧州に広がりつつある状況からも、国内流入を許していても不思議ではない。今はとにかく帰国者に対して徹底した検疫をして国内流入を止めるべき」

 これまで日本は島国の利点を生かせずに、何度も変異株の流入を許してきた。多くの海外からの帰国者が、空港検疫と隔離措置に対する監視の緩さを指摘しているのも周知の事実だ。その〝穴〟を完璧に埋めなければ、同じ失敗を繰り返すことになりかねない。

 そんななか古本氏が最も懸念するのが、日本の近隣国の対応だ。

「ヒトやモノの流れを完全に断つことができない現代において、ウイルスの流入を防ぐことは安全保障と同じ。隣国との協調が大切になってくる。密接な関係にある国同士が連携を取って、同じレベルの対策をすることがリスク低減につながる」

 こんな古本氏の指摘とは裏腹に、海を挟んだ隣国・韓国の水際対策が世界各国の反応とはかけ離れた悠長なものだから頭が痛い。韓国政府の中央防疫対策本部は29日、「オミクロン株の韓国流入を防ぐための外国人の入国制限を検討しない」と発表。極めて感染力が高いと言われるオミクロン株に対し、具体的な水際対策は行わずに「今後の動向を注視する」にとどめたのだ。これでは古本氏の指摘する「隣国との協調」は不可能だろう。

 現在、説明のつかない感染者数の急減でホッと息をつく日本国内に、新たな脅威が迫っているのは間違いない。

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